明治大学現代中国研究所では、来年6月、米国コロンビア大学の著名な六四・天安門事件研究者であるアンドリュー・ネイサン(Andrew Nathan)教授、張博樹客員教授の両氏をお招きし、「六四・天安門事件三十周年記念シンポジウム」を開催する予定です。その前哨戦として、今回、三十周年プレ・シンポジウムを開催し、本番にむけて問題点の掘り起こしや整理などを行います。
日 時:2018年10月21日(日)14:00~17:10(13:30開場)
会 場:グローバルフロント1階 グローバルホール
(事前予約不要・入場無料)
報 告:矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授)
コメント:岩田昌征氏(千葉大学名誉教授)
司 会:石井知章(明治大学商学部教授)
主 催:明治大学現代中国研究所
<プログラム>
14:00-14:10:はじめの挨拶(石井知章)
14:10-15:30:報告(矢吹晋)
15:30-15:40:休憩
15:40-16:10:コメント(岩田昌征)
16:10-17:00:質疑応答、討論
17:00-17:10:おわりの挨拶(石井知章)
<報告者>
矢吹晋(やぶき・すすむ)氏
現代中国論専攻。1938年生まれ。1962年東京大学経済学部卒。アジア経済研究所研究員、横浜市立大学教授を経て、横浜市大名誉教授。21世紀中国総研ディレクター、朝河貫一顕彰協会代表理事。著書に『中国の夢-電脳社会主義の可能性』(花伝社)、『沖縄のナワを解く』(世界書院)、『習近平の夢』(花伝社)、『南シナ海領土紛争と日本』(花伝社)、『対米従属の原点ペリーの白旗』(花伝社)、『敗戦・沖縄・天皇』(花伝社)など。
<発言要旨>
中国の民主化はなぜ挫折したのか。
第一は、中国の経済的成功である。「民主化抑圧のもとで、経済的発展は望めまい」と予想したのとは違って、中国経済は大発展し、人々はこれに満足している。第二は、民主化後のロシアの経済的失敗である。ペレストロイカは政治的秩序を解体し、マフィア経済に陥る帰結をもたらした。隣国の現実を見て、中国では「民主化よりは豊かさを」求める気分が溢れ、「開発独裁を甘受する」現状維持論が強くなった。第三は、ソ連崩壊以後、米国の独り勝ちがもたらしたヘッジファンドの暴走とリーマン恐慌である。恐慌以後、所得格差が極度に拡大し、「米国の夢」は消えた(ピケティ等の分析)。資本主義幻想の崩壊は、他の先進資本主義諸国も同じ。日本沈没への動きは、特に著しく、シャープが買収され、東芝が買収され、数年後には、日本丸沈没への動きは加速しよう。
習近平の電脳社会主義はジョージ・オーウェルの『1984年』に酷似するが、ビッグデータの活用による民主政治の空洞化という文脈では、西側もすでにオーウェル的世界ではないか。
<コメンテーター>
岩田昌征(いわた・まさゆき)氏
1938年生まれ。東京大学文学部卒。一橋大学社会学研究科修士、経済学博士(一橋大学)、アジア経済研究所研究員、北海道大学教授、千葉大学教授、東京国際大学教授を経て、現在、千葉大学名誉教授、セルビア科学芸術アカデミー外国人会員。著書に『比較社会主義経済論』(日本評論社)、『現代社会主義の新地平』(同上)、『ユーゴスラヴィア多民族戦争の情報学——学者の冒険』(御茶の水書房)、『二〇世紀崩壊とユーゴスラヴィア戦争——日本異論派の言立て』(同上)、ドウシコ・タディチ著/岩田昌征訳解説『ハーグ国際法廷のミステリー 旧ユーゴスラヴィア多民族戦争の戦犯第一号日記』(社会評論社)など。