みなさまへ (BCCにて)松元
野田総理が「冷温停止宣言」をしたことは海外でも大きく取り上げられています。その海外の反応などを整理して、大分の東本高志さんが時機を得た投稿をされましたので転送紹介させていただきます。
=====以下全文転送======
野田首相が昨日16日の夕方記者会見を開き、福島第1原発の原子炉の冷却が安定して放射性物質の放出が大幅に抑えられた旨の冷温停止宣言をしました。
■首相、事故収束を宣言=「冷温停止状態」達成 ―避難区域見直しへ― 福島第1原発(朝日新聞/時事通信 2011年12月16
日)
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201112160062.html
■福島第1原発:野田首相、冷温停止状態達成を宣言(毎日新聞 2011年12月16日)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111216k0000e010213000c.html
しかし、京大原子炉実験所助教の小出裕章氏らが早くから指摘しているように〈冷温停止〉とは通常原子炉が十分に安全で格納容器を開いて中の燃料棒を取り出すことができる状態であることを指していうのであり、したがって炉心がメルトダウンしている状態の〈冷温停止〉など本来ありえないのです。
当然、この野田首相の冷温停止宣言には海外メディアや内外の専門家から批判が続出しています。
■冷温停止宣言:ドイツ通信社が速報 批判的見解も紹介(毎日新聞 2011年12月16日) http://mainichi.jp/select/world/news/20111217k0000m040032000c.html
【ベルリン篠田航一】東京電力福島第1原発の原子炉が冷温停止状態になったとの宣言について、ドイツのDPA通信は16日、「フクシマの原発の廃虚が制御された」と速報した。ドイツは福島第1原発事故を受け、今年6月、国内17基の全原発を22年までに順次停止する「脱原発」を決めた。/一方でDPA通信は「燃料棒が溶融し、圧力容器を破って地上に漏れているともみられ、まだ安全な状態には程遠い。これで冷温停止を宣言するのは意図的なウソと紙一重。日本政府は国民をミスリードしている」と批判するオーストリアの専門家の見方も紹介した。
■海外メディア 冷温停止を疑問視(NHKニュース 2011年12月16日 17時50分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111216/t10014696851000.html
野田総理大臣が、「原子炉は『冷温停止状態』に達した」と述べ、事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」を完了したことを宣言したことについて、海外のメディアは宣言の信ぴょう性を疑問視する見方や、完全な収束には相当な時間がかかるという見方を伝えています。/このうち、アメリカの新聞、「ニューヨークタイムズ」は、電子版で「専門家は『冷温停止状態』の宣言を強く疑問視している」としたうえで、「年内にステップ2を達成するという公約を果たすための、現実を無視した宣言であり、原子炉の安全性への脅威から目をそらせることがねらいだ」とする専門家の見方を伝えています。
また、イギリスのBBCは、野田総理大臣の記者会見の模様を生中継で放送し、「冷温停止は1つの節目だが、それは汚染された地域の除染や福島第一原発の廃炉といった今後の長い道のりの中の一歩にすぎない。避難を余儀なくされている人々が故郷に戻って普通の生活を始められるめどは立っていない」と伝えました。このほか、中国国営、新華社通信の英語版は、複数の専門家の話として、「損傷した原子炉内の温度を正確に測定することはできず、原子炉がどれほど安定した状態にあるかを断定することはできない」としたうえで、「世界の人々に間違った印象を与えるおそれがあり、日本政府は、ステップ2を年内に達成するということに固執しすぎるべきではない」と伝えています。
■政府の宣言 専門家からは批判の声(NHKニュース 2011年12月16日 17時35分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111216/t10014695951000.html
政府が東京電力福島第一原子力発電所の事故について「原子炉は『冷温停止状態』に達した」として、事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」を完了したことを宣言したことについて、専門家から批判の声が上がっています。/原子力の安全に詳しい九州大学の工藤和彦特任教授は「国や東京電力は『冷温停止状態』ということばを使っているが、原子炉では限られた手段での冷却しかできない状態にある。単なる区切りをつけるために宣言したものに過ぎない。正常に動いている原子炉を止めたときに使っている『冷温停止』とは相当違った状態であることをしっかり認識すべきだ」と述べました。
そのうえで、工藤特任教授は「原子炉を安定的に維持できるようになったことは一定の評価はできる。ただ、原子炉の状態や冷却方法が著しく改善されたわけではなく、安定した状態を再確認したに過ぎない。また、原子炉の溶けた燃料の状態がほとんど分かっていない状況で、今ある限られたデータによる推測しかできていない以上、今後もデータの不確かさをカバーするために、新たに機器を設置して圧力や水位も測れるようにするなど、状況の把握を進める必要がある」と話しました。
また、工藤特任教授は汚染水の処理施設からの水漏れを例に「今なされているのは事故の応急措置として『にわか作業』で作り上げたものであり、対策が十分でなかったことを示している。今の状態で仮設の施設を今後も使い続けなければならないこともあるわけで、あらゆる場所で水漏れが起きないことを示していく必要がある」と話しました。
■福島第一原発の冷温停止宣言、「安全になったわけではない」と米専門家(CNN Japan 2011.12.16)
http://www.cnn.co.jp/world/30004950.html
■Japan May Declare Control of Reactors, Over Serious
Doubts(日本政府が原子炉制御成功を宣言しても、その裏には重大な疑問)(ニューヨークタイムズ 2011年12月14日)
http://www.nytimes.com/2011/12/15/world/asia/japan-set-to-declare-control-over-damaged-nuclear-reactors.html?_r=2
■冷温停止状態は大本営発表、そのまま報じるメディアは「人民日報」 か 「プラウダ」 か?(ヤメ蚊ブログ 2011年12月14
日)
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/b88da3b8aaf8908f027249680e84e65d
などなど。
上記3本の記事のうちここでは2番目のニューヨークタイムズ記事(2011年12月14日付)を全訳しているブログがありますので、以下、同記事を転載させていただこうと思います。
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■ニューヨークタイムズ紙:「冷温停止宣言の裏の疑問」(EX-SKF-JP
2011年12月15日)
http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/12/blog-post_15.html
(以下、略―編集部)