26日午前に表記の件で実施されたワークショップの報告です。
このワークショップの趣旨は、2016年に核エネルギー問題のテーマによる
社会フォーラムを日本で開催できないか、というブラジルの反原発運動団
体からの呼びかけをもとに、その実施の課題や意義などを話し合うという
ものでした。
なお、世界社会フォーラム全体は数万人が参加する反グローバル化運動の
大規模な行動です。日本からの参加者の報告が以下のブログに掲載されて
います。あわせてごらんください。
http://blog.socialforum.jp/
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参加者 20名弱。地元チュニジア、フランス、ブラジル、フィンランドなど
から参加。とくにフランスからの参加者が多かった。簡単な自己紹介のあ
と、今回参加できなくなったコリンさんからのメッセージを紹介すること
から始まり、冒頭、シコからワークショップの趣旨について、概略以下の
ような発言があった。シコ自身の原発への関心はごく最近のもので、彼自
身、この分野での活動についての長い闘いの経験も知識も持っていないと
述べ、なぜ原発の問題に関心を寄せることになったのかを語ってくれた。
彼は福島の原発事故を深刻な問題と受けとめたが、他方で、ブラジル政府
は福島の事故があったにもかかわらず、原発の新規建設を進めている。ブ
ラジルにとって日本の事故は遠い国での余所事のようなものとしてしかと
らえられておらず、同様の深刻な事故がブラジルでもありうるということ
への危機感がない。ブラジルでは、社会運動もまた原発への関心は低く、
反原発運動はきわめて脆弱で小規模なものしかない。シコは、なんとかし
て、福島の経験を受けとめて反原発運動を力のあるものにしたいと強調し
た。また、シコは、福島原発事故以後、日本では各地に多くの反原発運動
が生まれてきた。これは、日本の私たちがどのように評価するかは別のこ
ととして、ブラジルの反原発運動からするとかなり力強いものと感じられ
ていることは確かだ。同時にシコは、広島・長崎の被ばくの経験から反核
運動の長い歴史もあり、日本においても反核と反原発運動が必ずしも十分
な結びつきをもってはこなかったことを知っている。彼は、今必要なこと
として、原発と核兵器の双方を視野に入れた運動が必要であり、日本には
このような運動を構築しうる可能性があるのではないかと語った。その上
で、2016年にテーマ別社会フォーラムとして核エネルギーをテーマとした
フォーラムを日本で是非開催したい。核をなくすという問題をエネルギー
と兵器の両面から国境を越えた運動をつくる上で開催地としては、日本が
最もぞましい、是非日本でテーマ別フォーラムの開催を主体的に担う動き
を作ってほしいと述べた。勿論彼自身、日本の運動がこうしたテーマ別の
社会フォーラムを容易に開催できるような状況にはないことも承知した上
で、あえて、問題を投げかけて、私たち日本の参加者からのレスポンスを
求めた。
日本側からは、日本における反原発運動の課題やかかえている問題(再稼
動、除染や廃炉などの被ばく労働、廃棄物処理、原発輸出など)や政府や
東電による人々の分断があることなど発言があり、その後に、参加者との
自由な意見交換がおこなわれた。議論の中心は、テーマ別のフォーラムを
日本で実施するかどうかということよりも、原発についてどのような問題
があるのか、それぞれがもっている関心についての意見表明が大半を占め
た。中でも、原発の輸出入や違法な海外での放射性廃棄物の投棄、ウラン
鉱山の問題、原発労働の問題、メディアや政府のプロパガンダなど様々な
論点が出された。チュニジアからの参加者は、アレバんのようなフランス
資本の影響力が強く原発開発政策が進められていると述べた。
私個人の意見としては、世界社会フォーラムが主として第三世界の社会運
動として展開してきた経緯を踏まえるとすると、先進国による原発輸出と
第三世界の輸入の問題や、廃棄物の問題、被ばく労働問題などを国境を越
えた運動として構築する条件として意義があると思う。同時に、世界社会
フォーラムがこれまでも第三世界で開催されてきたことを重視するとすれ
ば、開催地を日本ではなく第三世界の原発輸入を積極的に実施しようとし
ている国で開催するという選択肢もありえる、といったことを述べた。資
源開発と廃棄物の国際投棄、そして被ばく労働者の搾取といった問題は、
一国内で完結するものではないから、国際的な連帯が必要だろう。
ワークショップの目的である日本でのテーマ別社会フォーラムの開催につ
いては、28日に木幡さんの証言を中心とするコンファレンスもあるので、
継続して議論することとなった。とりあえず、実務的なこことしては、本
日および28日の参加者に、フォーラムの開催や核エネルギー問題について、
今後も継続して議論に参加してもらえるかどうか打診するメールを送付し、
参加してもらえる人たちで検討や議論が可能なコミュニケーション環境
(メーリングリストなど)を作成して議論をすることにした。
27日夜に、ホテルアフリカでシコとともに今後の方向性について相談する
会合をもつことになった。
ワークショップには初対面の人たちも多く、しかも、英語、フランス語、
日本語の通訳が必要でありかなりコミュニケーションでは大変だった。通
訳で協力をいただいた皆さんには心からお礼をします。本当にありがとう
ございました。28日も似たような状況になるので、ぜひよろしくお願いし
ます。
ワークショップ終了後、木幡さんは、テレセンターでインタビューを受け、
福島の現状について詳しくはなしをしました。