中国擁護のわけ その10 頭の上のハエを追え。

最近YouTubeで,新疆ウィグル自治区のトルファンやウルムチやカシュガル地方の映像を目にすることが多くなった。これは昨年1月から始まった人権権侵害プロパガンダつまり中国包囲網に対抗するためにYTに再度放映したものと思われるが,日付が新しくないから一度放映されたものであろう。検索エンジンが利用されて目につきやすくなったのであろう。

ところで,これらの映像は美しくもよくできている。一度は行きたくなるような風景と美女の映像である。小生は木のスプ-ンが現在では機械化によって手製ではなく造られていると淡々と述べ,伝統を重んじる職人の姿を映し出す映像が好きだ。しかしドイツの言葉にもあるように,信じるにはあまりにも美しすぎる。人権侵害など無きがごときである。

そこでいくらか中国批判をすれば,2009年にウルムチで暴動が起きたのだから,なぜ起きたのかを解説する説明や映像があればよかった。たとえば先月ドイツの大統領が中国を訪れた時,沢山の議題があったが「人権問題」に関して大統領から質問が出された。それに対して報道官の答えは真正面から答えていない。

小生は「中国擁護のわけ その9」で中国が置かれた状況(中国包囲網)を憂いて北京政府を擁護し,米国CIAによる政情不安定化工作があることを指摘した。小生のこの見方に対する真正面の批判・反論がない。なぜだろうか。

「頭の上のハエを追え」という諺が昔からあるが,どの国の政府にも恥部がある。他国を批判するのは自由だが,同時に自国の欠点を論う必要もある。

中國擁護のわけ その10の続き

ところで小生が中国擁護論を展開したのは,中国批判の文章やYTビデオが去年から多くなった事に加え,HRWやBBC映像や,米国共和党のアジア担当の助言者である及川幸久氏ら(JRPテレヴィ)が新疆ウィグル地区では100万人から300万人が強制収容所乃至教育再生キャンプに入れらて拷問されるなどの,ひどい目にあっていると訴えたからである。

NHKの衛星番組でも中央大学の講師の先生だったと思うが,ウィグル人1、100万人の一割近くがひどい目にあっていると,自分の目で確かめないことを口にしていたが,失礼ながら,南京虐殺でさえ30万人である。100万単位で拷問するというのは人数が多すぎると疑う。ナチス・ヒトラーは300万人毒ガス室に入れて殺したというが,これは特別中の特別な事例であろう。

他方,日本の検察による冤罪やでっち上げ事件は数えきれない。後藤田正晴官房長官の相談役朝堂院大覚総裁はオウム真理教の黒幕にされたそうだ(JRTテレビ)。沖縄辺野古では県民の多くが反対しているにも拘らず埋め立てを強行している安倍・創価学会政権。米国もシカゴ68事件や無抵抗の妊婦惨殺(警官による)など恥部は数え上げたらきりがない。さらに米CIAによるチリのアジェンデ政権転覆など人権無視も甚だしい。北京政府の人権侵害を訴える者は,頭の上のハエを追え。

しかしおそらく北京政府も思想犯を何百人か何千人か分からないが,何人かは取り締まって牢獄に入れ,思想教育をしているだろう。

もし小生の推測が誤りであるならば,反論して頂きたいが,本日も米艦が西沙諸島

(中国人民網)に勝手に侵入したというニュ-ズが飛び込んできたように,中国包囲網は今日も続く。中国独立のための犠牲者は2500万人と言われているが,アヘン戦争以来香港を割譲され,旧日本軍に侵略された歴史を考えれば,また中国を承認したニクソンが弾劾されたことを思い出し,中国の独立を許さない勢力が今日なお存在することを考えれば,北京政府がテロリストやその協力者に対して強硬な取り締まりに出たとしても「けしからん」と言うことはできない。

奇しくも RT.com は,フランスの Jacques Hogard 大佐が「1999年NATOがセルビアに攻め込んだとき欧州は死んだ」という記事を載せ(9.Jan. 2019),NATO侵略が国際法違反であることを紹介する一方,岩田昌征千葉大名誉教授は,最後の駐ユーゴスラヴィア大使W.モンゴメリー著『民主的移行闘争』(2010年、ベオグラード)を紹介されている;「 ―私の外交官生活において、三つの権威主義レジームの崩壊、そしてスロボダン・ミロシェヴィチの逮捕とハーグへの移送を目撃し、・・・。――これら異なる状況におけるきつい体験を通して私が学んだ事は、タイミングが正しければ権威主義的で不人気なレジームを打倒する事は、比較的に容易だと言う事だ」(ちきゅう座)。

NATO軍によるユ-ゴ侵略のとき,中国大使館が爆撃された。これは誤爆ではない。米国の世界戦略の一環である。米国CIAの政権交代策に協力するような,中国に対する人権侵害批判記事は歓迎できないが,まずは「頭の上のハエを追え」と申し上げたい。