中国擁護のわけ その18

J.ボルトン氏が38度線に現れなかったことに象徴されているように,彼は9.10日に解任された。すでに紹介したように,ポンペオ国務長官と喧嘩をしていたというのは本当であった。しかしボルトン大統領補佐官が解任されたと言っても米国-イランの緊張が好転するとは限らない。ボルトン一派がイランと突然戦争を始めるかもしれないからである。

それはともかくトランプ大統領は「来年のG7にプ-チン大統領を招待してはどうか」と提案したが,プ-チンはその返礼として「西側の指導力は終焉に向かいつつある。G7は中国やインドのような経済的に大きな力を持つ神(インドの破壊神の一つ)を抜きにしては考えられない」と語った(September 07, 2019 “Information Clearing House” –  Russian President Vladimir Putin has said the leading role of the West is coming to an end, and no serious international group makes much sense anymore without economic juggernauts like China and India.)

以前は米中そして露の三角関係を政治的に考えれば事は済んだ。例えばニクソン・ヘンリ-・キッシンジャ-の米中接近のときはソ連は中立(または仲が疎遠),最近の2015年は中露接近で米国は両国包囲網を敷き経済制裁のみならずミサイルを周辺国に配置した。つまりトランプによるプ-チン氏G7への招待は中露分断を狙った発言であった。米露接近。

ところが今回のプ-チン返礼により四角関係が登場しそうである。すなわち米中露印、この4か国のうち中露印はAIIBに参加し,一帯一路の関係当事国であり、BRICsの一員である。どうみてもトランプの招待は藪蛇であったとしか思えない。しかしそれだけであろうか。

トランプ大統領はボルトン補佐官を解任した。好戦的な補佐官を解任し,いよいよアメリカ合州国の軍事的・経済的覇権を放棄しようとしているのではないだろうか。

最近,イギリスの財務大臣は「ドル中心の世界は終わった」と述べている。ニクソンはベトナム侵略戦争で米ドル-金兌換停止に追い込まれたがその教訓は何であったのであろうか。サウジアラビアがロシアに靡こうとしているとき,ペトロダラ-はもはや使えない。人民元に基軸通貨の役割を譲らざるを得ない時代を迎えたのであろう。米中関税吹っ掛け問題はトランプ米国の最後の悪あがきであるような気がしてならない。

追加:トランプの次の一手はAIIB参加であろう。米中関税問題を手終いし一帯一路に活路を見出す可能性が高い。Bloombergが放映したように “Seatle is dead”.シアトルの路上生活者は300万人以上で全米第4位の数。ロスやシカゴや,そしてオレゴンの数も数えきれず。

A.ヴィルチェク氏が指摘する通りである:『マスコミに載らない海外記事』の翻訳記事2019年9月 8日 (日) 「余りに長い間、発展途上諸国を圧迫したために、自身発展途上諸国と化した欧米」2019年9月3日

Andre Vltchek New Eastern Outlook が参考になる。