中国擁護のわけ その4-1

Human Rights Watchの女性が出演してウィグル地区の人権弾圧について語っている。しかし及川氏は米国共和党のアジア地区担当の助言者であり,HRWとの関係も深い。したがって国連は,共和党・民主党に押されHRWの報告を信じて,中国政府やウィグル人の意見・反論(人権侵害はなかった)を取り入れなかった。国連報告書は一方的である。

以上,2つのビデオをみた感想を書いたが,及川氏の話と同じ内容で代り映えしない。新しいのは「孤児」の存在だけであった。宇宙航空写真で100万人収容の教育再生キャンプ(強制収容所という表現ではなくなっている?)の映像が映されるのかと思いきやその期待も裏切られた。イー,アール,サン等の数詞暗唱によって中国文化に同化させる教育が行われていることを示したい映像も一部含まれていたが,そのほかの教育内容は全く示されていない。全体を示さず特殊な一部を撮った映像ばかり。これなら小生も映画監督になれる。2分や3分で広大なウィグルの話を紹介すること自体が無謀な試み。

小生の友人となったムスリム青年は,グーグルの航空写真で日本の我が家を見つけ出し車が一台停まっていることを指摘した。また町や道路全体がきれいであることに驚いた。彼のこのグーグル地図検索を使えばヤルカンドの強制収容所の場所もはっきり映るに違いない。住所さえわかれば米ロの衛星写真など不要であることが分かった。したがって亡命ウィグル人に強制収容所の住所を尋ねればその場所がどこにあるか,またどんな様子か分かるだろうことが分かった。国連よ,AP社よ,住所と町名をご教示願いたい。

さて結論になるが,中国政府のGeng Shueng氏は警備が厳重なのは過激派テロ取り締まり対策であり,シリアのようなひどい状態にならないためと説明している(現にウィグル地区から約3,000人のテロリストがシリアに向かった)。また孤児は,親が居ないので孤児院に入れただけと説明している。親戚がいるはずなのに親戚では引き取らないのだろうか。つまり,中国政府の声明におかしいところはない。但し中国政府の声明を100%信じるものではない。経済的にも時間的にも余裕のある人でない限り,広大なウィグル地区を巡って事実を確かめることは大変だからである。

AP社配信の映像で中国軍兵士が写っていた町は何という町だろうか。中国の町の入り口には門がある。AP記者は,「門」ぐらい映像に収めることができたはず。事件直後の町の警備が厳しかったのかもしれない。とにかく映像が短くて全体像が分からない。ウクライナではロシア軍がブークミサイルを運んでいる映像が流されたがこれが合成写真であることがバレた。AP社も古い映像を使ったのであろう。

この映像みても中国政府包囲網のためのプロパガンダ映像であるという小生の考えは変わらない。中国政府は中立国からの査察団を受け入れて身の潔白を証明してはどうか。小生は上海に用があるので,カシュガルとムスタガータ山をついでに再訪してみたい。飛行機は上海-烏魯木斉(ウルムチ)-喀什(カシュガル)。できればヤルカンドやホータンまで足を延ばしてみたい。