中国擁護の極論を撃つ(続)

著者: 熊王信之 くまおうのぶゆき : ちきゅう座会員
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数年前にこの国でも世情を騒がせた国際的な逃税地に関わることで所謂「パナマ文書」と呼ばれる機密文書の暴露事件がありました。

私自身は、逃税では無くて、現役時代に「徴税」、それも特殊な事務に関わったことがありまして、税務に関わる法務には今でも関心がある処から、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ: International Consortium of Investigative Journalists)に連絡して関連文書類を送付して頂いております。

その中には、実名を挙げて、「納税」ならぬ国際的「逃税」をされた、或いは、されつつある企業や個人の実名があり、驚くとともに憤りを感じています。

同事案の詳細につきましては他に譲り、以下のニューズウィーク日本版に概略が掲載されています処の中国に関わる部分を御覧頂ければ、現下の中国の支配層に依る逃税の現実が如何に凄まじいものかが理解出来得るものと思われます。

パナマ文書、中国の現状を解剖する ニューズウィーク日本版 2016年4月7日(木)20時00分

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4858.php

旧ソ連のノーメンクラトゥーラ(赤い貴族)の実体は、資本主義諸国の富裕層と同等かそれ以上の金と権力を保有していた存在でしたが、現中国の支配層も同等のようです。

さて、金に纏わる話題はさておきまして、権力(欲)について見ますと、現代中国(の支配層)の周辺諸国に対する領海・領土拡大の欲望には限度が無いかのようであり、中国に依る侵略を受けた、または受けつつある諸国は多数に上ります。

今も実効的・実質的占領下にある西域からヒマラヤ山脈にかけての諸国は言うに及ばず、東南アジアからフィリピン、現時点で進行中の南沙諸島まで軍事侵攻・侵入を受けたか、受けつつある諸国が存在します。 尖閣諸島のように、他国が実行支配している地域・領海への不法侵入等は日常茶飯事と言えます。

最近の事案である南沙諸島の領有権に関わっては、国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所が、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないと認定したのにも関わらず、更に、同条約を批准している当該国にも関わらず、「従わない」と言明するのです。

南シナ海、中国の主権認めず 国際司法が初判断   習主席「判決の影響受けない」

日本経済新聞 2016/7/12 20:29 (2016/7/12 22:26更新)

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H6C_S6A710C1MM8000/

南沙諸島では、軍事基地化が進行中であり、同諸島に接近する船舶・飛行機には中国側から警告が発せられ、発砲を受ける危機感があるとのことです。

?? Pictures show China militarisation of Spratly islands  Al Jazeera English  2018/02/06 https://www.youtube.com/watch?v=TcY4JovmQ8c

中国は、尖閣諸島のように他国の実行支配地域にまで侵入するのですから、巡視船等で実行支配していない諸国にあっては、対抗出来得ないのも無理からぬものがあります。

因みに、海上保安庁に依れば、「近年、尖閣諸島周辺海域では、中国公船の領海侵入が繰り返されています。平成29年においても、平成28年に比べて大きな変化はなく、荒天の日等を除きほぼ毎日、接続水域を航行している状況であり、依然として緊迫した情勢が続いています。」(海上保安レポート2018下線:筆者)とあります。

https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2018/html/honpen/1_02_chap1.html

ちきゅう座交流の広場に寄生し、独断と偏見に依る中国擁護の妄言を繰り返す輩は、日本共産党の中国への諫言をも顧みないのでしょうか。

即ち、日本共産党第27回大会決議に依りますと、総論では、「中国の国際政治における動向に、見過ごすことのできない問題点があらわれてきた。」とされ、以下のように四点を挙げられます。

(1)核兵器問題で深刻な変質が起こっている

(2)東シナ海と南シナ海での力による現状変更をめざす動き

(3)国際会議の民主的運営をふみにじる横暴なふるまい

(4)日中両党で確認してきた原則に相いれない態度

そして結論では、(5)真剣に是正し、国際社会の信頼を得る行動を求める

日本共産党第27回大会決議

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-19/2017011909_01_0.html

読むほどに至極全うな論に思えます。 中でも、「力による現状変更をめざす動き」とは、直截に言えば他国領土・領海の干犯、即ち、侵略そのものではないのでしょうか。

力に依る現状変更を繰り返す現中国の在り様に無批判の擁護論を論拠も示さず繰り返す輩の妄言を放置すれば、当ちきゅう座に安倍戦前回帰政権に対する批判の論陣を期待し、また明るい明日の世を築く展望を求める人々の思いを閉ざし、希望を迷路に誘い込み封殺する結末になるのではないのでしょうか。 断じてそのような妄言に迷わされてはならないのです。