事実に基づいた日本の将来像と対応を

世上(一部だけと思いますが)では、アベノミクスとオリンピック開催地決定で景気が上向くかの期待が膨らんでいるのでしょう。 株屋と土木・建設業関連の鼻息が荒くなっているようです。 でも、私は、長年に渡り保有していました日本株投資信託(独立系)を売却しつつあります。 日本株市場自体に観切りをつけたのです。

コツコツと毎月、少ない給料から積み立てた投信でした。 退職後の年金生活の助けになるだろうと、経済・金融の勉強を兼ねて投資の世界に足を踏み入れ、リーマンショック前には、含み益が相当増え、運用報告書を読むのが楽しみになった程です。 それが、一瞬にして赤字になり、「自分年金」の夢が消えたのです。 幸いにも外国通貨建て債券に手を出していましたので、昨年からの円安傾向に助けられ、含み益が出て助かりましたが。

日本株市場は、異様な市場です。 短期で利鞘を稼ぐディトレなら別ですが、バブル崩壊後は、ひたすら下げる展開が連続するのですから、通常一般の投資スタンスで利益を上げることは困難でしょう。 株屋は良く、「長期投資」と云いますが、日本株市場では、長期だろうと短期だろうと、勝つのは困難です。

試みに、TOPIX(一部総合)とS&P 500 Indexを比較して観れば一目料然です。 米国市場では、バブル崩壊もあり株価は上下しますが、投資理論に従い長期で保有すれば、勝てるのです。 ところが、日本では、もし仮に、バブルの頂点で買っていれば、恐らく死ぬまで保有していても勝てる望みは無いでしょう。

http://quote.tse.or.jp/tse/quote.cgi?F=histidx/HistIndex&basequote=151_1968&begin=1968/01/05&end=2013/10/03&mode=M&histtype=CSV

株価指数ヒストリカルグラフ -TOPIX(一部総合)-東京証券取引所

http://stockcharts.com/freecharts/historical/spx1960.html

S&P 500 Index (1960 – Present Weekly)

それでは、アベノミクスと共に、1960年代のように東京オリンピック開催が日本経済の起爆剤になり、株価の上昇になるでしょうか。 数日間は、影響があったようにも観えましたが、過大評価は出来ないのが現実です。 東京都の試算でも3兆円の効果ですから。 しかも分析対象期間は、2013年から2020年の7年間で、分析対象地域は、東京都及び全国ですから、とても日本経済に爆発的な影響を及ぼすことはありません。

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/06/20m67800.htm

東京都 報道発表資料 [2012年6月掲載]

また、土木・建設業者には悪いのですが、住宅・事務所の需要そのものが増え価格高騰を招くことも無いでしょう。 何より公示地価が示しているのです。

バブルを頂点にした右肩下りのグラフには辟易とするばかりですが、全て関連しているのですから仕方がありません。 尤も、断トツで右肩上がりの図形があります。 国債発行額です。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp032-z.pdf

公示地価の推移 内閣府

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E5%82%B5

日本国債 -Wikipedia-

日本経済団体連合会の21 世紀政策研究所 グローバルJAPAN特別委員会が作成した「日本経済4 シナリオのシミュレーション結果」として想定される前提条件に基づくと、「全てのシナリオにおいて、少子高齢化・人口減少の影響による労働力人口減少、貯蓄・投資減少(=資本蓄積鈍化)が経済に及ぼす影響は甚大である。」とされています。 即ち、(図表2-1-7)に依りますと、GDP成長率(実質)は、2030 年代以降、全てのシナリオでマイナス成長に為るのです。 これは、アベノミクス前の想定ですが、安倍政権の「アホノミクス」に日本衰退を早める効果はあっても再生は不可能です。

http://www.21ppi.org/pdf/thesis/120416.pdf

グローバルJAPAN- 2050 年 シミュレーションと総合戦略 -

上の想定シナリオの基盤である人口減少について「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」に基づく将来像は「我が国の総人口は、今後、長期の人口減少過程に入り、平成38(2026)年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、60(2048)年には1億人を割って9,913万人となり、72(2060)年には8,674万人になると推計されている(図1-1-3)。」のですから。

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/s1_1_1_02.html

将来推計人口でみる50年後の日本 内閣府

http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/t-page.asp

日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計) 国立社会保障・人口問題研究所

日本の将来像を事実に基づき描き、適切で現実的な対応をしなければならない時期にあると云えるでしょう。 アベノ何とかの幻影を振りまくことには何等の利益もありません。