井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会 新着情報No.21

新着情報  No.21  20161111

『金属』誌(Vol.86(2016), No.11, p.1057-1065)で高橋禮二郎世話人(元東北大学教授)らの論説「疑惑論文の図は誰が準備したのか」が公表されました。

高橋世話人は、日野秀逸フォーラム代表(東北大学名誉教授)、大村泉フォーラム世話人(東北大学名誉教授)、松井恵氏(弁護士)と共同で標記の論説を『金属』誌の本年6月号で公表されました。その概要は以下の通りです。

  米国物理学協会(American Institute of Physics:以下、 AIP)は,2011 6 月,井上明久氏を筆頭著者とする Applied Physics Letters(APL) に掲載の論文(以下、APL論文)の「撤回 (Retraction)」を公告した.AIP が撤回公告に元論文として掲げた MSE 論文 APL 論文との関係は明瞭である.しかし調査を進めると,APL 論文の主題に直結する「応力-歪曲 (Fig.4)」と「破壊面画像 (Fig.5)」のオリジナルは MSE 論文ではなく,その前に公表済みの MT99 年論文 に認められ,① APL 論文の Fig.4 は,MT99 年論文の Fig.6 に手を加えて使用され,② APL 論文の Fig.5 MT99 年論文の Fig.7 4 枚の写真の中から (c) (d) 2 枚を選択使用されていることが判明した.だが APL 論文ではこの MT99 年論文への言及は一切ない.加えて,③ APL 論文では,「X線回折図(Fig.2)」, および「TEM 画像(Fig.3)」を,円柱状,つまりバルク試料のデータと明記しているが,実際の測定に用いられた試料は,薄帯状試料であった可能性が濃厚である.これらの事実は,APL 論文に新たな研究不正疑惑が生まれていることを示唆する.疑惑論文の図は誰が準備したのか.論文著者および実験担当者はこの問題に真摯に答える責任がある.

 

 詳細は,『金属』誌の標記論説を参照願います。

 

初出:「東北フォーラムホームページ 井上[元]総長の研究不正疑惑の解消を要望する会」より許可を得て転載:https://sites.google.com/site/wwwforumtohoku3rd/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6359:161116〕