井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会 新着情報 No. 13

新着情報 No. 13 2020119

 本フォーラム等で、不正疑惑が濃厚と指摘し続けてきた東北大学元総長を主著者とする論文の多くは、研究開発法人 科学技術振興機構〔JST〕の看板プロジェクト、ERATOプログラムの成果報告書に含まれています。その代表的なものが 試料概観写真や2枚のX線回折グラフを、元論文との関係を明確にせず、しかも一部を変更して流用している99年論文」です。

 この99年論文に関する東北大学の報告書(20161216日付)は、その結論で、「写真やグラフの流用は記載不備とも考えられ、かつ故意だとの証拠も得られないため、研究不正とは言えない」としています。しかし、この故意だとの証拠が得られないとの理由付は、元総長自らが「前論文の解釈の間違いを明らかにするために、後続論文には意図的に同じグラフを用いたと回答【朝日新聞、201528日】していることから、明らかに矛盾しています。この報告書が公開されて以降、不正疑惑論文関連で、以下に示す3つの新たな動きが確認されています。(一部は、本フォーラムの新着情報で扱っているので重複します〕 

1.           日本金属学会編集委員会は、20193月末に、99年論文とその元論文に相当する97年論文の両方について、同学会の「ミスコンダクト対応規程」の第3条(2)不適切行為、例えば不適切な捏造(故意によらない、極めて悪質ではないもの)を適用し、両論文の科学的に不適切な箇所を具体的に公示して撤回処分としました。

2.           論文撤回処分の公示を踏まえ、東北大学の20161216日付報告書の作成に関わられた2名の委員(本間基文氏、久道 茂氏;両氏とも東北大学名誉教授)が2019510日に東北大学の研究担当理事に面会して、 『この報告書についていたはずの別添文書の存在確認と再調査』を要請されました。この行動に伴って、委員会では6名の委員のうちちょうど半数の3名が「問題あり」と主張していたことや運営の問題点等も明らかになりました。

3.           不正疑惑論文の研究が実施された金属材料研究所は、東北大学の報告書では 『故意による研究不正とは認定されなかった』としたうえで、「一方、単純ミスでは済まされない多くの不適切な行為があったことは、事実と認められています」と、部局のHP上で見解を示しました。この金属材料研究所教授会の見識は、日本金属学会編集委員会と同様に、たとえ故意でない場合であっても、単純ミスでは済まされない・済ますべきではない と認定しています。また、この内容は、文部科学省のガイドラインが不正行為として定義している「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠っていること(特定不正行為)」と整合し、極めて重要なポイントです。

東北大学名誉教授の齋藤文良氏および矢野雅文氏は、ERATOプログラムの推進・実施機関である科学技術振興機構(JST)の理事長に対して、新たな事実等を明示した上で、JSTが、東北大学への質問・問い合わせ等を行い、社会的責任を果たすようにと、2020105日付で、要請されました。なぜならば、多くの不正疑惑論文が含まれるERATOプログラムの原資は税金だからです。これらについて、紹介します。

齋藤 文良・矢野雅文名誉教授の報告書(2020113日付)ここをクリック

齋藤・矢野名誉教授の指摘ポイント概要  ここをクリック

朝日新聞記事、2017年5月18日付け ここをクリック

東北大報告(四ッ柳委員長)の問題点  ここをクリック

朝日新聞記事、201528日付け ここをクリック

日本金属学会のミスコンダクト規程 ここをクリック

早坂研究担当理事への要望書(本間基文・久道茂東北大学名誉教授、2019510付) ここをクリック

東北大学金属材料研究所のHPに掲載されている「公正な研究活動の推進」メッツセージ(修正版) ここをクリック

初出:「東北フォーラムホームページNo.4 井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会」より許可を得て転載:https://sites.google.com/site/forumtohoku4th/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔study1143:201112〕