今日の首相会見~笑顔とワンチームで乗り切る?!

一国の首相がする会見とは思えなかった。新コロナウイルス感染拡大対策、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正の成立を受けての会見にしては、新しい政策、具体的な政策が何ら示されなかった。爆発的な感染拡大は見られない、1万人当たりの感染者数0.06は他国と比べて低い、8割が軽症者であり、感染者の8割は人への感染がない・・・、など、軽く乗り切りたいのは、東京オリンピックが迫っているからだろう。重症になるのは、高齢者で、基礎疾患のある感染者に集中していると付け加えるのだが、これって、高齢で、基礎疾患のある者が罹患したら、重症になるのは「仕方ないんだよ」と、自己責任と言わんばかりに聞こえたのだが。

会見時間が20分という予定だったそうだが、首相の一方的な発言が22分を超えた。今回は、質疑を時間を増やして1時間近くになったそうだ。私は、首相の発言と質問の半分くらいを聞いていた。毎度のことではあるが、首相の発言の特徴が、その文末に表れているので、注目したい。

国民がもっとも不安にも思っているPCR検査の遅れについては、前回の記者会意では、一日の検査可能件数を従来の1.5倍の6000件としたが、さらに現在は8000件が「可能になっている」というのだが、私たちが知りたいのは、その可能性ではなく、実施件数と感染率なのではないか。記者たちがそこを質問しないのも、不思議なのだ。検査可能件数を4000、6000、8000件と増やすあたりは、まるで「バナナのたたき売り」ではないか。

また、これも、国民の暮らしにさし迫っている経済対策についても、「具体策を練り上げる」「実施する見込みとなった」「整備に取り組んでいる」「金融機関に要請している」「無利子無担保の貸し付けをすることにした」「速やかに検討したい」・・・という具合で、具体性がない。介護施設にもマスクを届けたとか、換気の悪い、大勢が集まる空間での近距離接触には要注意などは、首相が改めて語ることだろうか。

心を一つに、ワンチームで乗り切りたい?笑顔で乗り切りたい!というのだが。

まったくもって、無内容な会見であった。

 

初出:「内野光子のブログ」2020.3.14より許可を得て転載

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〔opinion9542:200315〕