仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)の編集会議襲撃事件は全世界で報道され残虐にも言論の自由を銃火で封じようとした犯行に非難が高まっています。
パリ新聞社襲撃、生存者が目にした「戦慄の光景」AFP 2015年01月09日 12:15 発信地:パリ/フランス
この事件では、既に本日(1月9日)の時点で、犯人はイスラム過激派テロ組織で軍事訓練等の教練を受けていたことが明らかになっています。 しかしながら、彼等テロ組織の一員が何故警察や対テロ諜報組織の監視を免れて、こともあろうにイスラム過激派から敵視されていた風刺紙編集部を襲撃出来得たのかが判然としません。
仏紙銃撃事件の容疑者、イエメンのアルカイダ系組織で戦闘訓練 ロイター Reuters
報道された内容に依りますと、犯人達は、銃器の取扱にも熟練し短時間で警備の警官をも含めて多数を銃撃により殺害していますので、相当な軍事訓練を経て綿密に計画された犯行であるのには間違いが無いことと思われます。
襲撃を受けたシャルリー・エブド(Charlie Hebdo)は、以前からイスラム過激派には眼をつけられ脅迫を受けていたのですが、仏治安当局の警護は充分であったのでしょうか。 二、三名のテロリストに簡単に撃ち殺されている警護の警官ではボディーガードの役目を果たせる筈も無く、仏当局の警備体制の不備は明らかです。
嘗て、イギリスの作家サルマン・ラシュディがムハンマドの生涯を題材に書いた小説「悪魔の詩」(The Satanic Verses)がイスラム冒涜であるとして、作家を死刑に処すとの宣告に引き続き各国の翻訳者・出版関係者を標的とした暗殺事件が発生したことがあります。
しかしながら、イギリス警察当局は作家を厳重に警護しイスラム狂信者に依る犯行を許していません。 比較して、シャルリー・エブドの編集会議の席で犯行が行われる結果になったのは、明らかな仏治安当局の過失と言わなければなりません。
「悪魔の詩」事件では、日本においても、イスラム過激派の犯行でないか、と憶測された襲撃事件が生起しています。 既に時効(犯人が国内に居ると仮定した場合ですが)になっていますが、未だにテロの疑いが濃い事件です。
イスラム過激派には、ISIS(イスラム国)の蛮行と云い、甘い見方は禁物でしょう。 欧州で今回の事件を受けてイスラム過激派への視線が厳しくなるのは当然の成り行きではないかと思われます。