佐倉市は、不動産屋に?山万の空きビルの一部を借り上げて、貸室業をやるらしい!

佐倉市のユーカリが丘駅前と言えば、11月下旬、タワーマンションの最上階での殺人事件が報道されて以降、犯人もいまだ捕まらず、住民の不安が募っている。あのマンションを含む、一帯のマンションのオーナーで、開発業者の山万と佐倉市が絡む問題が浮上した。

佐倉市ユーカリが丘駅前の山万の商業ビルから、スーパーのイオン(元のサティ)が抜けて、がらんどうになった跡に、2017年11月、ようやく1階に、スーパーのオーケーが入った。しかし、2階の通路は、白い壁のトンネルで、少々気味が悪いほどだ。3階へのエスカレーターは運転がストップしたままで、いったいどうなるのだろう、山万は何を考えているのかと、余計な心配もしていた。

そこから5分ほど歩いたところに、バカでかいイオンタウンを誘致、2016年6月にオープンしたが、専門店の入れ替わりが激しいというか、この間まであった店舗がなくなっている?移動している?ということが何度かあったし、食料品売り場以外は、客がまばらなので、他人事ながら、先行きが心配だったのである。

佐倉市が、商業ビルの3階をフロアごと借りて、大改装の上、部屋を貸すんだって?

そんなとき、えッ?というな、ニュースが飛び込んできたのが、上の情報である。9月から、佐倉市議会で取りざたされていたらしいのだが、私は、少々忙しい時期でもあったためか、見過ごしていたというか、知らずに過ごしていたのだった。 元サティのあった商業ビルはスカイプラザモールと呼ばれ、その3階を、佐倉市が、ほぼ借り切って、幾つかに区切って事務所用の部屋を貸し出そうという事業を始めるというのだ。そのための補正予算が9月市議会に提案され、成立してしまったというのだ。

その中身は、テレワーク・シェアオフィスをスカイプラザモールの3階に開設するための、総額1億1,138万4,000円の補正予算組んだことに始まる。そのうち、国からの交付金が約5,100万円、佐倉市分は約6,000万円で、そのすべてを、改装のための工事に当てようというものである。山万への賃借料が年間840万の10年契約、年間の人件費、光熱費、清掃費など維持費が、あわせて2040万、合計3000万近いランニングコストがかかる事業のための補正だったのである。

その国からの交付金というのは、舌をも噛みそうな「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2017改訂版)及び平成30年度予算・税制改正(地方創生関連)について」(平成30年2月13日内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局)の一環としての「平成29年度生産性革命に資する地方創生拠点整備事業」のための総額約650億交付金であった。第2回目の募集が5月7日にあり、佐倉市は6月21日に応募、8月3日に決定が降りたという経過があったらしい。要するに、私には、「キラキラネーム事業」のバラマキの一環のようにも思えた。市議会では、市民ネットワーク、日本共産党、新社会党の計6人が、計画そのものが拙速で、ずさんであるとして反対していた。

そもそも、テレワーク・シェアオフィスって何?

テレワークとは、わずかなスペースに机、パソコン、電話、コピー機などを備えたオフィスを貸し出して、勤務先に通わずに働いたり、そのオフィス限りで個人やベンチャー起業家として働いたりすることだ。シェアオフィスとは、複数の利用者が同じスペースを共有して、自らのオフィスにすることらしい。設備投資や維持の削減ができ、多様な働き方ができると、話題になっている。東京から離れた佐倉市などで、その需要が呼び込めるのか、となると、不安要素は多いだろう。それに、レンタル料の設定が、10人用会議室で月額20万、6人用で12万というから、便利な都心の相場と比べて、あまり差がないというのだ。フルに稼働した皮算用でも5年間は赤字だというのだから、自治体が手掛けるにはアブナイ事業ではないか。赤字続きだったら、どうする気なのだろう。そのリスクは、納税者の国民が、市民が負う。なかなかテナントが入らない空きビルを、佐倉市がフロアごと借りてくれるのだから、オーナーにとってはこの上もない事業だったのである。

そういえば、11月下旬に、これまで、ユーカリが丘駅のコンコースに隣接した通路にあった佐倉市ユーカリが丘出張所が、上記のスカイプラザモールの3階に移転したのも、その布石であったのだ。駅からは、数分歩くことになる。

佐倉市役所の建て替え問題が浮上した時、私はかねてより、一層市役所全体を、駅前のビルに移転してもよいと思っていた。人口から言えば、志津地区の人口が最も多く、その真ん中に位置するのがユーカリが丘だと思うからだ。ガラガラにも近い駅に近いビルには、市役所がよく似合うと思う。

旅行中に知ったのだが、宮城県石巻市は、石巻駅の真ん前のデパートの跡がそっくり市役所になっていた。

あれは、四年前、思い起こすのが「市長選」~

前回、2015年春の佐倉市長選挙の際の、現役の蕨(わらび)市長に対して、山万がバックアップした某候補者が仕掛けた醜い選挙戦だった。某候補の公約は、山万が提供するというユーカリが丘駅前の3000坪の土地に順天堂大学のある学科を誘致するために、佐倉市から25億円の補助金を出すというものだった。25億円の根拠を示さないまま、補助金は出せないと慎重だった現役市長を糾弾するもので、違反ポスターやチラシ、怪文書が乱れとんで、大学を誘致して、若者が行き交う街にするのは、いいじゃないかと、単純に考える市民を巻き込む勢いだった。

現役市長の市政の志津霊園問題をはじめとする都市計画、企業誘致政策、防災、福祉、教育政策には、合理性に欠ける施策が多く、私などは、事あるごとに異を唱え続けてきていたのだが、この25億円の補助金に待ったをかけていたことだけは、その一点で評価していた。選挙終盤戦には、その市長が「順大誘致に反対しているわけではない」などのチラシを撒いたりし始めて、がっくりしたのだった。ともかく、現役市長の勝利に終わり、某候補応援、市長攻撃のネット情報は、翌日に削除されたとい顛末もある。その後、愛媛県の加計学園獣医学部問題が表面化して、愛媛県と今治市の補助金が問題になっただけに、市長はほっとしているだろう、と思っていた。

その市長を落選させる勢いで、企業ぐるみで選挙戦を展開していた、開発業者の山万が、現市長と手を組んだのである。実にキナ臭い話ではある。市議会で、件の補正予算に反対した会派の一つの機関誌には「市長と民間業者の間で何があったのでしょうか?」と報じていた。

「嵐のような、あの佐倉市長選は、何だったのか」『すてきなあなたへ』(70号2015年6月8日)より

http://dmituko.cocolog-nifty.com/sutekinaanatahe70.pdf

2015年の市長選の顛末について、くわしくは、以下の過去記事をご参照ください。>

・佐倉市の大学誘致はどうなるのか~順天堂大学おかしな動き、その蔭に
(2015年3月8日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/03/post-5d0f.html

・「順天堂大学誘致」はどうなったか、佐倉市議会の質疑からみえるもの
(2015年3月16日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/03/post-2f8b.html

・佐倉市、順天堂大学誘致をめぐる「選挙戦」 ~誘致の効果は机上の空論、得をするのは誰なのだろう (2015年4月14日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-5c84.html

・市長・市議選の争点は「大学誘致」ばかりではない~やっぱり出た”怪”文書「順天堂大学誘致の会ニュースレター」(2015年4月18日 )

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-7056.html

 

初出:「内野光子のブログ」2018.12.10より許可を得て転載

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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