一通の手紙で〝双方向・循環型〟の党活動が実現できるとは思われない、民主集中制廃止と党首公選を実現しなければ党勢回復は文句に終わる、8中総の「あいさつ・報告」を読んで
日本共産党第8回中央委員会総会の「志位議長あいさつ」、田村委員長と山下副委員長の「幹部会報告」(赤旗3月14日)を読んだ。志位議長はあいさつで「この総会は文字通り日本共産党の命運がかかった重要な総会」と位置づけ、田村委員長が第一報告(政治報告)、山下副委員長が第二報告(党建設に関わる報告)を行った。志位議長あいさつの骨子は以下の通り。
(1)ロシアのウクライナ侵略や米国トランプ政権のベネズエラ侵略、イランへの先制攻撃など世界の平和秩序が脅かされているもとで、世界はいま戦後かってない重大な歴史的岐路に立っている。日本でも衆院選で圧倒的多数を獲得した高市政権のもとで、憲法9条の改悪など平和・暮らし・人権を脅かす戦後かってない歴史逆行の危険が生まれている。日本でも総選挙の結果に強い危機感を抱く人々が、高市政権と真正面から対決する日本共産党に対して新たな期待を寄せ、新しいたたかいと連帯の輪が広がっている。世界でも日本でも、歴史の本流に立ち、逆流に正面から断固として奮闘する日本共産党の存在意義がこれほど鮮やかな時はない。
(2)党中央は、総選挙の結果について寄せられた声の一つ一つをしっかりと受け止め、総活作業を行ってきた。選挙活動を日常的に推進する上で、①「要求対話・アンケート」の取組を一貫して戦略的課題として追求すること、②早い段階から衆院比例ブロックごとに得票と議席の目標を明確にすることにおいて党中央のイニシアチブに弱点があり、選挙活動の立ち遅れにつながった。総選挙の後退の根本には、党の自力不足の問題があった。昨年9月の6中総決定に基づき「世代的継承を中軸に質量ともに強大な党をつくる集中期間」に取り組んできたが、目標に大きな距離を残したまま解散・総選挙をたたかうことになった。
(3)2024年1月の第29回党大会で決定した「党づくりで後退から前進への歴史的転換を果たす」という目標を、来年1月の第30回党大会までにやり抜くには、現在少数の支部と党員によって担われている拡大の現状を打開し、すべての支部と党員が参加する運動に発展させる以外にない。中央委員会と支部・グループが互いに学び合い、一緒に党づくりを前進させる「双方向・循環型」の取り組みを発展させることが必要だ。第8回中央委員会総会として支部・グループに「新しい手紙」を送ることを提案する。
志位議長の提案を解説する山下副委員長の「党建設に関わる報告」の骨子は以下の通り(一部は共産党ウェブサイトから補足)。
(1)2024年1月の第29回党大会は、党勢拡大の目標として第30回党大会までに2020年1月の第28回党大会現勢(27万人の党員、100万人の赤旗読者)を回復・突破することを目標とした。しかし、党勢の到達は党員でも赤旗読者でも長年にわたる後退から前進に転じることができず、第29回党大会の時点からさらに後退している。その結果「これだけは必ずやりきる」という目標に修正し、第30回党大会までに第29回党大会現勢(25万人の党員、85万人の赤旗読者)を回復・突破することを新たな目標とする。
(2)必要な拡大数は、党員拡大は現勢で1万3750人の前進、赤旗読者拡大は現勢で日刊紙は紙と電子版の合計で1万2803人の前進、日曜版は紙と電子版の合計で6万8398人の前進となる。党勢拡大の目標は、1支部あたり平均1人の党員拡大、日刊紙読者1人、日曜版5人の前進で達成することができる。
(3)新たな目標達成の唯一の道は、全支部・グループが参加する運動にある。そのため「双方向・循環型」の党づくりの大原則に立ち返り、全支部・グループに向けた「手紙」を送ることにした。「手紙」の一番の核心は、「党建設の前進はできるか、自信が持てない」という支部と党員の思いから問いかけ、「党づくりの大きな可能性が生まれている」ことを、客観的可能性、主体的可能性の両面から明らかにしたことにある。
(4)常任幹部会でも、幹部会でもかなり突っ込んで議論した。40年来の後退を克服するには、従来通りの活動でそんな大仕事ができるのか、できないんじゃないか――、そう考えながら活動の仕方を変えなければならないことを列挙した。
山下報告からわかる2026年3月現在の党勢は、党員23万6250人(25万人-1万3750人)、赤旗読者(紙と電子版を合わせて)76万8799人(85万人-1万2803人-6万8398人)となる。2026年1月に開催予定だった第30回党大会では、党員27万人・赤旗読者100万人の目標が掲げられていたが、現状は2年間で差引党員3万3750人・赤旗読者23万1201人のマイナスが出ている。これでは2027年1月の第30回党大会までに党員25万人、赤旗読者85万人回復を「必ずやりきる」目標に設定しても、実現できるかどうかは疑わしい。
山下報告では、「党づくりの大きな可能性が生まれていることを、客観的可能性、主体的可能性の両面から明らかにした」とある。だが、それを裏付ける客観的データはどこにも示されていない。時事通信社の最新世論調査では、共産党の支持率は2026年2月2.0%から3月1.1%に下落している。その他各紙の世論調査でも共産党の支持率は押しなべて2~3%のレベルに低迷している。これでは党勢回復の〝客観的可能性〟が生まれているなどとは到底言えない。
党勢拡大の〝主体的可能性〟についてはどうか。山下報告では「1支部あたり平均1人の党員拡大、日刊紙読者1人、日曜版5人の前進で達成することができる」とあるが、これらの数字は全て「たられば」の仮定に基づくものであって、党活動の実態を反映していない。「現在少数の支部と党員によって担われている拡大の現状を打開する」(志位議長あいさつ)ためには、その現状と問題点を解明することが先決であって、「たられば」の数字を並べることではあるまい。
ざっと流し目で読んだだけでも、8中総の「あいさつ・報告」は杜撰(ずさん)極まるもので論評に値するものとは思われない。言い換えれば、それだけ共産党の政治方針が行き詰まり、党幹部会が「手紙」を出す程度の提案しかできないまでに衰退していることを示している。40年来の党勢後退の原因を解明できず、志位議長ら党指導部が何の責任も取らないことを前提とする8中総報告は、全支部・グループからブーイングを受けてもおかしくない代物だ。にもかかわらず、赤旗には「8中総
あいさつ・報告への(賛同する)感想」が恥ずかしげもなく掲載されている。志位議長らは、赤旗とともに共産党を墓場まで持っていくつもりなのだろうか(つづく)。
初出:「リベラル21」2026.03.19より許可を得て転送
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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