自公体制の「終わりの始まり」なのか、2025年東京都議選の結果を見て
参院選と同じ年に行われる12年に1度の東京都議選が終わった。6月22日に投票が行われた東京都議選(定数127)は、42選挙区に295人が立候補する大激戦となった。期日前投票は172万9224人、2021年の前回から21%増えて過去最多を更新し、投票率は47.59%で前回を5.20ポイント上回った。各紙が伝える選挙結果の特徴は、以下の通りである。
小池都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が104万3563票(得票率19.7%)で第1党に返り咲き(改選前26議席 → 31議席)、都議会最大勢力(改選前30議席)の自民党は83万886票(15.7%)で大敗し、過去最低の23議席(2017年)を下回る21議席となった(非公認裏金議員を追加公認しなければ18議席)。これまで候補者全員を当選させてきた公明も53万217票(10.0%)、23議席から19議席へ大きく後退した。それでも、小池知事を支える都民ファースト・自民・公明の「知事与党」は71議席となり、過半数64議席を上回った。
自民大敗の原因は、長引く物価高への不満、「政治とカネ」問題に起因する政治不信などに根ざすもので、自民は会派責任者の幹事長経験者6人を非公認にして選挙戦に臨んだが、裏金議員17人中5人落選、幹事長経験者6人のうち3人が落選した。各紙の出口調査によると、自民支持層で自民候補に投票したのは5割前後にとどまり、半数は他党派に流れたという。
東京都選挙管理委員会のデータによると、過去4回の参院選(2013年、2017年、2021年、2025年)の自民得票数の推移は、163万3303票(36.0%、38議席)、126万101票(22.5%、23議席)、119万2796票(33.6%、32議席)、83万886票(15.7%、18議席)となり、12年前に比べて議席数と得票数はほぼ半減している。2017年は、都民ファーストが188万4千票の大量得票で49議席を獲得した結果、自民は過去最低の23議席に落ち込んだが、それでも得票数は126万票(22.5%)を維持していた。だが、今回は違う。得票数と議席数がともに落ち込み、83万票(15.7%)と18議席に激減したのである(追加公認分は未算入)。これは選挙情勢の変化にともなう一時的な現象などではなく、党組織の劣化による「構造的衰退現象」と言わなければならず、来たる参院選では仮借のない結果としてあらわれるだろう。
同様に、過去4回の公明得票数の推移を見ると、63万9160票(14.1%、23議席)、73万4697票(13.1%、23議席)、63万810票(13.5%、23議席)、53万217票(10.0%、19議席)と、得票数は2017年以降連続して10万票ずつ減らしており、今回初めて「全員当選」にならず、19議席に後退した。都議選は公明にとっては「聖戦」と言われるほどの重要性を持ち、創価学会を先頭にして死に物狂いで取り組んできた選挙であるだけに、その衝撃は大きい。しかし、学会会員や党員の高齢化による影響は如何ともし難く、池田会長出身地の大田区や創価学会本部のある新宿区で議席を取りこぼしたことは、全国に与える影響は想像以上に大きい。
ちなみに、今後の自公体制の行方を占う上で大きな材料となる自公合計得票数は、227万2463票(50.1%、61議席)、199万4798票(35.6%、46議席)、182万3606票(39.2%、55議席)、136万1103票(25.7%、40議席)と、12年前に比べて得票数と議席数は6割になっている。
立憲民主・国民民主はどうか。両党は組織が分裂して名前も変わっているが、過去4回の得票数の推移は、2013年民主69万622票(15.2%、15議席)、2017年民進38万5752票(6.9%、5議席)、2021年立憲民主57万3086票(12.3%、14議席)・国民民主3万1101票(0.6%、ゼロ議席)、2025年立憲民主47万6580票(9.0%、17議席)・国民民主36万7334票(6.9%、9議席)と極めて変動が激しい。両党を合わせると2025年は84万3914票(15.9%、26議席)となり、12年前に比べて得票数と議席数はともに増加しているが、この勢いで両党とも伸長するのか、それともどこかで国民民主が雲散霧消するのか、今後の行方については予測しがたい。
共産は公明と組織体質が似ている所為か、高齢化の影響でよく似た軌跡をたどっている。過去4回の得票数の推移を見ると、61万6721票(13.6%、17議席)、77万3722票(13.8%、19議席)、63万156票(13.5%、19議席)、48万9084票(9.2%、14議席)と、2017年をピークにそれ以降着実に14万票ずつ得票数を減らしている。得票減は2021年14万3千票、2025年14万1千票となり、公明の10万票減よりも多い。
共産はこの結果を「24選挙区の得票数48万9084票は、2024年衆院選比例代表選挙で同じ地域から得た得票37万5084票を大きく上回りました。都議選と総選挙には選挙の性格や条件の違いはありますが、昨年の衆院選の到達点から大きく押し戻す得票を得ることができたことは、次につながる前向きの成果であり、善戦・健闘したと言えると考えるものです」(東京都常任委員会、赤旗6月24日)と総括している。42選挙区中の24選挙区だけで都議選の総活をすることなど「荒唐無稽」というほかないが、こんな恣意的な「キリトリ型」総括では、党員はもとより支持者も呆れてものが言えないのではないか。次期参院選では「キリトリ型」総活などが通用しない以上、容赦ない結果が待ち受けている。
この他、維新の会と石丸新党「再生の道」が全滅したことが大きな話題になった。維新の会の全滅は、最近の退潮が著しいこともあって驚かないが、石丸新党の全滅は意外だった。石丸新党は、「政策なしで候補者に任せる」「候補者擁立だけで当選を目標にしない」「石丸氏自身は立候補しない」などなど、異例の選挙戦術で世上の注目を引いたが、所詮はそれまでのことで「泡」のような存在だったことが明らかになった。都知事選で目を引いたSNS戦術が都議選でも通用すると考えたのであろうが、都議選は「人気投票」の場ではないことが理解できなかったのだろう。石丸氏は所詮「SNS時代のトリックスター」で終わるしかなかった。次期参院選にもし出馬するとすれば、「トリックスター」の正体が赤裸々になること間違いない。次回は、都議選が参院選京都選挙区に与える影響について書きたい(つづく)。
初出:「リベラル21」2025.6.28より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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