再び日韓条約反対

 安倍政権が慰安婦問題と徴用工問題にホワイト国外し=輸出規制で報復し、韓国が対抗してGSOMIA=軍事情報包括的保全協定を破棄した。日韓関係をどう見るか?
①新植民地主義的従属を脱却
 「87年を前後する時期は、民主化による市民社会の自立と同時に、大資本の、国の産業・金融政策からの自立という観点からも重要な転換点だったのである。まさに国家・市場・市民社会がそれぞれ独自の原理で牽制し合う近代社会のダイナミズムが韓国社会を動かしていく、そういう時代の到来であった。」(文京洙『新・韓国現代史』p167)
 79年、朴正煕暗殺と粛軍クーデター。80年光州蜂起。87年6月、民主抗争と民主化宣言。開発独裁・資本主義化と人民の民主化闘争、この上からのなし崩し的なブルジョア革命と下からの民主主義革命、これによって韓国は、新植民地主義的従属から脱却し、独立主権国家、民族資本主義国になったと言える。アメリカ帝国主義の衰退がそれを促進した。
 しかし、帝国主義と民族・植民地問題は依然として存在する。とりわけ謝罪と賠償の対日要求と南北統一。新しい情勢で、日韓条約に基づく日韓関係は変更が避けられないだろう。
②日韓条約改定
 安倍政権は1965年の日韓条約を金科玉条としている。しかし、日韓条約には、日本帝国主義の侵略と植民地支配の謝罪も賠償もない。民主化後の韓国は一種の革命政権であり、保守政権でも謝罪と賠償を要求する(朴槿恵政権も一時は慰安婦問題で要求)。
 日韓条約に対しては、日本人民も韓国人民も反対した。韓国人民はその後、民主化を勝ち取り、現在は侵略と植民地支配に対する日本の完全な謝罪と賠償を要求している。その象徴が慰安婦問題や徴用工問題だと言える。日本人民もその後、侵略と植民地主義に対する歴史的反省と韓国人民連帯を深化させてきた。
 現在のアジア情勢の中、日本は、朝鮮との国交回復を、したがって日朝条約の締結を迫られる。そこで侵略と植民地支配の完全な謝罪と賠償を迫られる。それは日韓条約の改定につながる。そのような条約の改定と締結を、日本人民は政府に要求しなくてはならない。
 日韓条約改定と日朝条約締結は、日本人民が自国の帝国主義とその覇権主義に反対し、アジア人民と連帯していく上で、日米安保条約破棄と並ぶ2大要求となろう。
③接近・連係・統一のヘゲモニー
 朝鮮・金正恩政権が韓国・文在寅政権を罵倒している。一体、何なのか?
 朝鮮は、金日成・満州派が相次ぐ粛清で主導権を握り、官僚制国家資本主義に変質・転化した。帝国主義との対峙が続き、ソ連型「計画経済」=戦時統制経済を基礎としたスターリン主義的な官僚ブルジョア階級の独裁であり、極めて苛酷な人民支配である。
 和田春樹『北朝鮮現代史』を参考にすると、70・80年代における金正日への世襲=「金王朝」が確立こそが、変質・転化の集中的表現と言える。「唯一思想体系」と「チェチェ思想」を確立し、「遊撃国家」という「新しい上部構造」が「国家社会主義の上に構築された」(p119・128)。「先軍政治」は「遊撃国家に代った」「正規軍国家」であり、「経済崩壊と食糧危機という国家的危機の中での非常事態対応の国家でもあった」(p195)。
 現在、金正恩体制は中国型の市場経済への転換と経済発展を企図している。官僚制国家資本主義は変わらないが、韓国の資本主義により同質化し、接近と連係と統一を促進する条件になる。そこに南北のブルジョア階級のヘゲモニー争いが起きているのだろう。
 ヘゲモニーはプロレタリア階級が握らなくてはならない。韓国も朝鮮も、国家はブルジョア階級独裁で社会主義革命に直面するが、国家的統一の民族的課題が残っている。プロレタリア階級は、ブルジョア階級の支配に対する階級闘争と同時に、接近・連係・統一のために闘争しなくてはならない。民族闘争のヘゲモニーが社会主義革命を引き寄せる。
④反帝・反覇権
 アジアは新しい情勢である。多くの民族資本主義国が存在する。韓国・朝鮮、台湾、ASEAN。覇権を争う4つの帝国主義が存在する。アメリカと日本、中国とロシア。
 民族資本主義国のプロレタリア階級は、自国のブルジョア階級に対する階級闘争と同時に、外国帝国主義とその覇権主義に反対することになる。社会主義革命に向かう過程における反帝・反覇権の民族的課題、この共通任務が国際的連帯を促進する。
 韓国と朝鮮の接近・連係・統一は大きな反帝・反覇権であり、とりわけ日本に向けられる。日本人民は、それを支持しなくてはならない。安倍政権の文政権に対する傲慢な態度! 帝国主義的民族排外主義に抗し、歴史的反省と連帯の深化を発揮しなくてはならない。それは日本帝国主義を打倒する社会主義革命に絶対不可欠の条件であろう。(おわり)
2019.11.08

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〔opinion9161:191109〕