11月18日、ラポロアイヌネイションによる十勝川サケ捕獲権確認請求訴訟の第6回口頭弁論が札幌地裁で開かれました。原告から裁判所に提出された準備書面(4)が、こちら「北大開示文書研究会ラポロ裁判支援センター」のウェブサイトに公開されました。訴状および準備書面(1)~(4)の全文が載っています。
http://www.kaijiken.sakura.ne.jp/fishingrights/index.html
http://www.kaijiken.sakura.ne.jp/fishingrights/complaint.html
この裁判は、サケ捕獲権の有無が刑事処罰を受けるかどうか、アイヌ民族がサケ捕獲権を有するかどうかの確認を求める訴訟です。アイヌ民族が資源領有権=財産権を有するかどうかという点では、アイヌモシリの大地すべてを「無主地先占=侵略強奪」した明治以来の日本国に真っ向勝負の裁判でもあります。みなさんも応援してください。
準備書面(1)では、サケ捕獲権が先住民族固有の権利であり憲法上の権利でもあると主張され、カナダ・アメリカの事例も紹介されています。準備書面(2)は、「適用する法律、法令、条項」がないとして法律上の争訟ではないと主張する被告に対して、訴訟の正当性を述べたもの。準備書面(3)は、アイヌ集団が当地に於いて江戸期からサケ捕獲権を有していた歴史事実を慣習法上の権利として主張する。とくにシャクシャイン蜂起以前と以後の漁業権争いと松前藩の介入は興味深い。準備書面(4)は、各種の国際法(国際規約の自由権規約・社会権規約/ILO169号条約/先住民族国連宣言/人種差別撤廃条約/ダーバン宣言など)と憲法および国内法との関連から、先住民族の権利としてのサケ捕獲権の法源を明示したものです。
とくに、40ページ以降では国際法上の文化享有権と憲法13条を結び付け、アイヌにとってサケは神(カムイチェップ(神の魚))であり主食(シエペ)であってサケ捕獲行為が経済行為であると同時に宗教行為でもあったことを示し、先住民族であるアイヌの政治的、経済的、社会的、文化的、及び信仰・世界観等の精神的基盤をなしていると論証しています。日本列島に多様な権利が根づく第一歩となることを希っています。
また、口頭弁論後の記者会見で弁護団がとくに強調した国連人種差別撤廃委員会総括所見(2010・2014・2018)=つまり日本国の不作為への懸念・苦言「一般的意見・勧告」についてのページも追加されています。
http://www.kaijiken.sakura.ne.jp/archives/CERD/cerd.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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