これまで、「敬老の日」などあまり意識することなく過ごしてきたが、ここ施設ではさすがに、そんなわけにはいかなかった。といっても、とくに誰かがうやまってくれたわけではない。
午後からは、ホールで、ジャスコンサートが開催された。アルトサックス奏者佐藤洋祐さんと野本晴美さんのピアノ演奏であった。佐藤さんは、大学時代は札幌が活動の場で、2008年に渡米、15年帰国まで活動、グラミー賞ベストジャズ・ボーカル・アルバムの年間賞を2回も受賞したそうだ。いまは、千葉県佐倉市を根拠地に、県内はじめ日本各地、海外でも演奏を展開されているという。野本さんは、芸大の作曲科出身だがジャズピアノでは、定評があり、佐藤さんと組んでの演奏も多いらしい。
ジャズたるもの、私にはなじみがなく、作曲者の名前も覚束ないが、曲目は、まず、ヘンリー・マンシーニの映画「ひまわり」のテーマであり、映画「ティファニーで朝食を」でオードリー・ヘプバーンがうたった「ムーン・リバー」だった。ロシアのウクライナ侵攻で、話題になった「ひまわり」だったが、残念ながら、私はこの映画を見ていない。何とも、もの悲しいメローディで、サックスがこんなにも透明感の高い音色が出せる楽器と、初めて知った。
グレンミラー楽団の「ムーライト・セレナーデ」、「茶色の小びん」など3曲、さらに、映画「世界残酷物語」のテーマ「モア」と続いた。映画の方は、1962年公開当時、どこかキワモノめいて見ていなかったが、オルトラーニの曲は、さまざまな楽器で、主題曲は、シナトラはじめ多くの歌手によりカバーされているというのだ。知らなかった!
日本のものもやりますよ、ということで「蘇州夜曲」(李香蘭主演『支那の夜』主題歌、西城八十作詞、服部良一作曲。1942年)、そして最後は、「川の流れのように」(秋元康作詞、見岳章作曲、1989年)であった。このレコードの発売は、1989年1月、美空ひばりが亡くなったのは6月だったので、最後の曲だったわけである。さらに、この曲は、施設で週3回実施している、ストレッチ・筋トレ体操教室のクールダウン「ひばり体操」の曲でもあったのである。
10曲以上にも及んだ楽しい一時間はあっという間に過ぎた。そして、夜は、敬老の日特別メニューの「松花堂弁当」であった。レストランは混んでもいたので、部屋に持ち帰って、ワインとともに。ごちそうさまでした。
明日で、施設内の歌会も三回目になった。それも楽しみにしているところ。
初出:「内野光子のブログ」2025.9.15より許可を得て転載
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