韓国通信NO706
山田洋次監督の「フーテンの寅次郎を語る」講演会に出かけた時のこと。講演が終わってロビーのソファに隣り合わせた山田さんに声をかけた。
寅さんが印刷工場の職人に「労働者諸君」と呼び掛ける場面が面白いと感想を言うと、「あのセリフは台本にない渥美清さんオリジナル」とのこと。
映画で毎回のように「労働者諸君」を演説口調でしゃべる理由は分からないが、「労働者らしく生きろよ」と寅さんがエールを送っていると勝手に解釈してきた。
自分を労働者と思わない労働者が多いのも困ったものだが、日本の労働者と労働組合の状態は目を覆いたくなる状態だ。立派な憲法と労働法を持ち、ILO条約の加盟国でありながら、現実は年を追うごとに貧困と無権利状態に追いやられている。労働組合の現状は「連合」(日本労働組合総連合会)を見れば明らかだ。賃上げを政府にまかせて恥じる気配もなく共産党を嫌って野党の選挙協力に水を差す始末。そのうち自民党支持を言い出しかねない堕落ぶりだ。日本の労働運動は死んだのも同然ななか、日本が何かと手本にしてきたアメリカで労働組合をめぐる大きな変化が起きていることに注目したい。
<国民の71%が労働組合を支持>
9月6日付『赤旗』の記事から。米ギャラップ社がアメリカ国民の71%が労働組合を支持しているという調査結果を発表した。スターバックス、アマゾンなど有名企業で組合結成が相次ぐなか、新自由主義による貧困の広がりに国民の怒りが労働運動に期待を寄せているという。そういえばアメリカでは最近、若者たちを中心に社会主義を支持する人たちが激増しているらしい。日本とは際立った違いだ。
政府が労働者を応援する姿勢も鮮明だ。ウォルシュ労働長官は「労働組合に加入して、自分たちの権利をはっきり言うべきだ。
政府は労働者の団結権を支援する」「労働組合員を増やすことは経済をより強くし労働者とその家族の生活をより良くする」と語る。
労働者に団結を求める発言はマルクスの「労働者は団結せよ」(共産党宣言)を思い出させる。世界最強最大の資本主義国家アメリカの政府が労働者の団結を支援すると言い出すほどに労働者の状況は深刻で、それとともに資本主義体制も危機にあるという認識を示した。労働組合敵視と弱体化をすすめてきた日本の経営者と政府との違いは明らかだ。
<二つの慰霊蔡から>
9月3日、我孫子では朝鮮人虐殺被害者3名を慰霊する小さな集まりがあった。9月11日、八千代市の高津山観音寺で開かれた慰霊祭に参加、40名近い参加者とともに焼香。「記憶を次の世代につないで行きたい」という代表者の訴えが心に残った。
「検見川事件」を記録した島袋和幸さん、福田村事件保存会運動の松丸健二さん、日本共産党の八千代市議伊原さん、習志野市議の谷岡さんと意見を交わした。来年100周年を迎えるにあたり、韓国から移送された鐘楼の修繕費用の6661万ウォンの募金の訴えがあった。朝鮮人被害者6661名一人当たり1万ウォン(約千円)の寄付である。
初出 :「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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