この式典には、皇族からは、天皇夫妻と秋篠宮夫妻の長女眞子さんが参加していた。100周年、120周年の時は、天皇夫妻以外には秋篠宮夫妻が参列していた。
11月29日、議会開設130年に当たり、参議院議場では、記念式典が開かれていた。130年前の11月29日帝国議会の会意識が開かれたことから、10年ごとの記念式典の一環として開催、今年の参加者は、新型ウィルス感染対策から、各党の代表者に限られた。感染者の急激な拡大のニュースなどに隠れ、あまり大きくは報道されなかった。
その日のお昼のNHKニュースでは、天皇の「おことば」と首相らの式辞を伝えた後、その末尾で、つぎのように報じた。
「一方、共産党は、「戦前の帝国議会を踏襲した、天皇中心のやり方になっており戦後の国会と区別して行うべきだ」などとして、式典を欠席しました。」
また、「読売新聞」も、その記事の末尾で、つぎのように伝えている。
「式典は新型コロナの感染防止のため、出席者を絞り、国歌は斉唱せずに演奏のみが行われた。共産党は「戦前の帝国議会を踏襲した天皇中心のやり方になっている」などとして欠席した」
国歌の演奏は、芸大のフィルハーモニアが担当したらしい。ここでも、共産党の対応が短く報じられていた。
ところが、「赤旗」の電子版には、つぎのような記事が掲載されていた。
「議会開設130年記念式典」開催2020年12月1日(火) 「国会は29日、参議院議場で「議会開設130年記念式典」を開催しました。1890年の帝国議会開設から130年となったことを受けたもの。式典には、式典委員(議院運営委員)の日本共産党の塩川鉄也衆院議員が出席しました。 日本共産党は、戦前の帝国議会の時代と戦後の国民主権の国会の歴史とは厳格に区別する必要があるとの見地から、戦前と戦後の歴史をひとくくりに記念する式典のあり方を批判してきました。」
ここで思い起こすのは、それまで、天皇の臨席、「おことば」で始まる開会式への参加を拒んできた共産党議員が、2016年の通常国会から参加するようになった一件である。当ブログの以下の記事に詳しいが、その参加に至った経緯が、依然として明確ではない。議場から、議長席からも一段と高い「玉座」から述べる「おことば」によって開会されるのと、国会開設130年記念式典で玉座から述べる「おことば」―「国内外の諸情勢に思いを致すとき、国会が、国権の最高機関として、国の繁栄と世界の平和のために果たすべき責務は、ますます重要になってきていると思います」とは何が違うというのだろう。
2015年末、開会式参加の弁として、天皇が高い席から「おことば」を述べる点を批判しつつ、天皇の「おことば」が「儀礼的、形式的な発言が慣例として定着した」ことを理由として述べていた。また、志位委員長が「共産党は天皇制に反対していると誤解されたくない」からとも述べていたことも忘れてはならないだろう。「玉座から述べる」方法も「おことば」の内容からしても、両者の違いはどこにあるのだろう。今回の対応との整合性、一貫性が問われるのではないか。民主主義的な議会制度と現在の「(象徴)天皇制」との共存が可能なのかという基本的な問題を、ただ、先送りにしているのに過ぎないのではないか。
◇ことしのクリスマス・イブは(2)(3)~なんといっても、サプライズは、国会開会式出席表明の共産党だった!(その1)(その2)2015年12月27日
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/12/post-6623.html
2015年12月28日
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/12/2-2dd0.html
初出:「内野光子のブログ」2020.12.2より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2020/12/post-fe367e.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion10336:201203〕