下記は、一昨日(7/8)の毎日新聞夕刊に掲載された福島県南相馬市の特定避難勧奨地点解除に関する特集記事です。福島第1原発事故により、理不尽にも居住地域を深刻なまでに放射能に汚染され、避難生活を余儀なくされている方々に対する、かような国の対応が許されていいのか、既にこの間の経緯や事情については熟知しているものの、改めてこの記事を読んでみて、かようなことは絶対に許すことはできないと確信をします。そして、国=政府に対する強い怒り、自民党政治家や霞が関官僚どもへの強烈なまでの嫌悪感、被害者を守ろうともせぬ地元自治体の県や市町村への不信、そして被害者の方々への思いが考察して、憂鬱な気分になってしまいます。
記事には次のように書かれています。(一部引用)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「毎時2・0マイクロシーベルト」とはどのようなレベルなのか。国が特定避難勧奨地点に指定した年間20ミリシーベルトを時間に換算した毎時3・8マイクロシーベルトより低いが、単純計算では年間11ミリシーベルトにも相当する。法令で定められた一般人の被ばく限度年間1ミリシーベルトの10倍以上だ。
年間20ミリシーベルトという値は、原発など放射線管理区域で働く作業員と同じ制限基準になる。そこでは防護服に身を固め、飲食や喫煙、滞在時間までも制限される。同地点に指定されると、避難の強制はないが、東電から1人当たり月額10万円の慰謝料のほか、避難者には行政からも固定資産税の減免などさまざまな支援を受けられた。ただ、指定は地域ではなく地点。そのため指定された民家の隣が非指定というケースも珍しくない。
国は南相馬市の山沿いの8行政区約800世帯のうち152世帯を指定した。他にも同県伊達市と川内村の一部を指定したが、共に12年12月に「基準を下回った」と解除。残った南相馬市も住民の声を無視して解除したため、8行政区の区長を先頭に未指定の世帯を含む206世帯808人が裁判に訴えた。
小沢さんが説明する。「放射性物質を含んだ雲は海からの風で北西に流れて山間部を汚染しました」。原発事故から4年。除染作業は進められてきたが、「山を汚染した放射性物質が西風に乗って飛んできます。国は安全と言いますが、放射性物質が集積されやすい雨どいの下などは依然として線量が高い」。
放射線量は、地面からの高さや向きでも変わる。場所を移動し、農道で小沢さんが測定器を差し出した。高さ1メートルで毎時3・84マイクロシーベルトだったが、高さ10センチに下げると、4倍強の同16マイクロシーベルトに上がった。「農作業や草むしりでは、土ぼこりを吸うこともある。特に土で遊ぶ小さな子どもには危険です。それなのに田畑などを含めた生活環境全体を測定していないのはおかしい」。測定器を山の方角に向けただけで数値が1・5倍に上昇した場所もあった。「指定前、私も国の測定に付いて回りました。その様子を見ると、玄関と庭先しか測定せず、測定する時も数値の低い値の方角を探しているようでした」。言葉に怒りがこもる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(田中一郎コメント)
そもそも、特定避難勧奨地点の指定の仕方も出鱈目なら、その解除の仕方も出鱈目で、まるで南相馬市の原発震災被害者の方々を人間扱い・住民扱いしていない、許しがたい仕業です。これはもう犯罪です。国家犯罪です。重大な人権侵害です。いったい国=政府や自民党の政治家どもは、被害者を何だと思っているのでしょうか。
みなさま、お願いでございます。どうぞ、この「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会」にご入会いただき、提訴した206世帯・808人の南相馬の被害者の方々を支えていただけませんでしょうか。同時代を生きるものとして、かようなことは絶対に許してはならないことだと思います。そして、この方々を支えながら、国=政府の原発事故被害者政策の歪みを糺し、放射線被曝の危険性の認識とそれに対する防護対策をきちんとさせていくことは、これからの日本の在り方を左右するとても大事なことでもあると思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
●特集ワイド:「忘災」の原発列島 国が避難指定解除→支援打ち切り 「20ミリシーベルトは安全」の非情 – 毎日新聞
http://mainichi.jp/shimen/news/20150708dde012040009000c.html
(関連)毎日新聞 特集ワイド
http://mainichi.jp/feature/wide/archive/
(1)「忘災」の原発列島:国が避難指定解除・支援打ち切り、「20mSvは安全」の非情(毎日 2015.7.8 夕刊)
(2)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会 入会のご案内(総天然色)(白黒)
(3)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会 加入申込用紙・規約
<関連サイト>
(1)南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会
http://minamisouma.blogspot.jp/
(7/28と8/27に支援の会主催の学習会があります。詳細はこのサイトをご覧ください)
(2)キャンペーンについてのお知らせ ・ 南相馬20ミリ訴訟の支援の会/住宅支援打ち切り方針を撤回させよう ・ Change.org
3%AA%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%92%A4%E5%9B%9E%E8%A8%B4%E8%A8%9F-%E5%8E%9F%E5%91%8A%E5%9B%A3%E3%81%AE%E7%9A%86%E6%A7%98-%E5%BF%9C%E6%8F%B4
%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99/u/11016373
(3)FoE Japan | 気候変動・エネルギー
http://www.foejapan.org/energy/action/150416.html
(このサイトにも、呼び掛け文、規約、加入申込用紙などがあります)
(4)「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会」結成!~全国集会が開催される
http://www.labornetjp.org/news/2015/0509yumoto
(当日は、広島から原爆被爆者の方も駆けつけてきてくださり、励ましの言葉をいただきました)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5473:150710〕