韓国通信NO663
NHKがドイツの首都ベルリンで開かれた3.6反原発のデモを報じた。
コロナとオリンピックで一色に染まった各メディアが、3月に入り突然目を覚ましたように東日本大地震3.11関連のニュースを取り上げている。
東北の復興を盛んに喧伝してきた政府が、最近また「復興」を言い出したのを聞いて耳を疑った。
復興と言わなければ、さらに支持率が下がるのを心配した発言に聞こえた。原発事故の後始末の見通しは全く立っていない。
10年たっても故郷に戻れない人は福島県民を中心に4万人以上、行方不明者は2500人を超える。
「復興の姿を見てもらう」などとエラソーなことを言ってオリンピックを誘致したことも問題だったが、復興の道は遠く、原発事故に対する反省はいまだにない。3.11は過去とではない現実だ。
ドイツからフクシマは世界の「現実」だという叫びが伝わってきた。
最近のNHKテレビから、大宅壮一の「一憶総白痴化」を思い出す。見るほうのレベルが低いのか、作り手のレベルが低いのかよくわからないが、国会中継のかわりに料理番組やバラエティ番組。ニュース報道は相変わらず政権に大甘ぶり。見たいドキュメンタリーは何故か深夜の放映。国民に寄り添うと言わんばかりの「バカ笑い」番組の多さには正直、うんざり、辟易、うすら寒さを感じるほどだ。
ニュースを見落とした方は下記httpsをご覧ください。
<写真/ベルリンの反原発集会の横断幕>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210307/k10012901971000.html
不思議に思うのは、反原発運動をはじめ、政府に抗議する集会やデモを無視し続けるNHKが、何故このようなニュースを報じることができたのか。あわせて考えて欲しい。
<以下 ニュース全文>
東京電力福島第一原子力発電所の事故から10年になるのを前に、ドイツでは世界各国の原発に反対するデモが行われました。ベルリン在住の作家、多和田葉子さんも参加し、原発の停止を呼びかけました。
福島第一原発の事故を受けドイツは脱原発の方針を決め、来年までに国内すべての原発の運転を停止することにしています。
首都ベルリンでは6日、原発に反対する市民グループの呼びかけでデモが行われ、およそ200人が再生可能エネルギーへの転換のシンボルとして風車を手にし「福島を忘れるな」とか「ただちに脱原発を」などと書かれた横断幕を掲げて行進し、日本など世界各国の原発の廃止を訴えました。
デモでは、ベルリン在住で、ドイツで最も権威のある文学賞の1つ「クライスト賞」も受賞している多和田葉子さんが壇上に立ち「原子力のシステムは人生の意義をいつでも破壊しうる。存在するだけで、私たちの心の中は絶えず汚染されてしまう」と、原発をただちに停止するようドイツ語で呼びかけました。
スピーチのあと、多和田さんは「政治的にそれほど活動してこなかった普通の人間としてどういうふうに考え、なぜ絶対に原発をやめたほうがいいと思うのか伝えたいと思った」と話していました。
参加した女性は「福島の事故は原発を安全に運転することはできないとはっきり示した。世界中の原発をただちに止めなければならない」と話していました。
ドイツでは7日以降も原発反対のデモなどが各地で行われる予定です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、ドイツは2011年、国内に17基あった原発を段階的に廃止する脱原発の方針を決めました。
現在稼働しているのは6基で、いずれも来年までに停止される予定です。
代わりに風力や太陽光などの再生可能エネルギーを推進していて、去年、再生可能エネルギーが総発電量に占める割合は50%を超えました。
一方、脱原発政策をめぐっては、政府の急な方針転換によって損害を受けたとして、原子力発電所を運転する電力会社による訴訟が相次いでいました。政府は5日、電力会社4社に対しておよそ24億ユーロ、日本円で3100億円余りを支払うことで合意したと発表しています。
以上
原発事故発生後から、放射能は安全、子どもの甲状腺がんは原発とは無関係、クリーンで経済的な原発、と「原子力ムラ」あげての原発推進の大合唱が続いてきた。
敢えて言うならこの10年の歳月は決して無駄ではなかった。何故なら御用学者のウソが明らかになったからだ。しかし最近では「風化」「風評被害」という言葉をもてあそび、俳優の石坂浩二まで登場させて再稼働を画策する姑息な悪あがきが現在も続いている。
ヒロシマ・ナガサキと福島の事故から私たちは何も学ばなかったのではないか。政府は核保有国アメリカに気兼ねして核兵器禁止条約に反対。脱原発という世界的の潮流のなかで日本だけが、原発は「決して悪いものじゃない」とうそぶいているように見える。コロナを克服したつもりになってオリンピックを強行するなら、日本人は人類史上類いまれな民族として歴史に記憶されるに違いない。命より金儲け、既得権益中心の時代は終わりにしたい。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion10650:210316〕