原発は自然災害より人的要因で重大事故に

 

再稼働差し止めの仮処分が出たばかりの四国電力伊方原発で、「全電源喪失」の事態に陥った。以下は、共同通信の記事からの転用。

 

25日午後3時45分ごろ、四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)で3号機の定期検査中、発電所内が一時停電するトラブルがあった。非常用ディーゼル発電機が起動するなどして約10秒後に復旧した。四国電は「ほぼ全ての電源が一時的に喪失した」と説明している。原因は不明。外部への放射能漏れはないとしている。

 

思い返してほしい、スリーマイルズもチェルノブイリも何らかの点検作業中のミスによって崩壊しているのであって、地震や火山の噴火などに起因しているのではないということ。人間はどうしても近い過去に起きた出来事に目を奪われがちだが、原発の危険性をトータルにとらえる上では、百害あって一利なし。

 

身近な例で申し訳ないが、車を定期点検に出して戻ってくると、なにか不具合が起きてくるなど誰しも経験していると思う。それと全く同じでこの点検とか補修というのが、安全性や安定動作を保守する目的で行われるのに、まったく逆の結果になることがぢつに多い。ウオッシャー液が出ません程度の話ならまだともかく、「全電源停止」ではお寒い限りだ。

 

共同通信記事中の「ディーゼル発電機が起動」というくだりに注目されたい。

あたかも、つつがなく事が進んだような印象を持たれるかもしれないが、「全電源喪失」から復帰するにはこのプロセスが絶対的な命綱。なぜガソリン電源でなくてディーゼルなのかというと、ガソリンエンジンは点火するのにスパークプラグに高圧電気を供給する必要あるが、「全電源喪失」ではそれは不可能だからだ。ディーゼルはシリンダ内の空気をピストンが圧縮して高温にすることで点火する。が「最初の一撃」はどうするのかというと、爆薬を爆発させたその衝撃を利用している。信管はごくわずかの電池などの電力で励起できるというわけだ。これを裏返せば、この「最初の一撃」に失敗すれば原発は「全電源喪失」から離脱できず「メルトダウン」にまで突き進む。

こういう心もとないことこの上のないバックアップが「生命線」であるのが原発であることを、反原発派諸君は地震だ火砕流だとかばかりでなくもっと認識を深める

べきだろう。

 

ついでに言えば、中距離ミサイルでピンポイント攻撃されたらひとたまりもない。

それを防御するすべがないのはイランのミサイル攻撃に米軍基地がなすすべを持たなかったことを見れば実感できるだろう。数発のミサイル攻撃でこの国は完全にマヒ状態に陥る、そうしてそれはいつでも可能だということ、このことは何度強調してもし過ぎるということはあり得ない。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座https://chikyuza.net/
〔opinion9386:200126〕