みなさまへ 松元
「100ミリシーベルト以下、20ミリシーベルト以下なら安全(健康にただちに影響はない)」という政府の施策の根拠は、国連諸機関もグルになったICRP(国際放射線防護委員会)のリスク評価にあります。この嘘のリスク評価を日本の御用学者たちも「国際的な合意をえられた科学的事実」として先ごろも(12月22日)政府に進言しています。
低線量被ばくを除外したこのリスク評価が科学的にいかにずさんな方法であるか、科学的体系的に倫理的法的評価もふくめて批判したのがECRRの①です。これまでは「美浜の会ブログ」で日本語訳がみられましたが、残念ながら翻訳が難渋で読みづらいものでした。この山内知也監訳の①は、素人でもたいへん読みやすく翻訳されています。
そしてこのICRPリスク評価のさらに「科学的根拠」になっているのが原爆投下直後のアメリカABCCの調査で爆心地外の低線量被ばくを意図的に除外した過小評価を基礎にしていることを、非常に早くから指摘していたのが中川保雄氏です。日本の被爆者が二重三重に国際的核推進同盟に利用されてきた歴史が手に取るように描かれています。1991年の②がこのたび再版されました。
これら①、②は、日本の放射線被ばくの歴史とリスク評価において決定的な重要性をもつ必読基本図書だと思います。全国の大学図書館はもちろん、公共図書館、学校図書館にぜひ推薦してほしいと思います。
①「放射線被ばくによる健康影響とリスク評価 欧州放射線リスク委員会(ECRR)2010年勧告」
著者 欧州放射線リスク委員会(ECRR) 編
山内 知也 監訳
出版年月日 2011/11/30
ISBN 9784750334974
判型・ページ数 A5・356ページ
定価 本体2,800円+税
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http://www.akashi.co.jp/book/b96169.html
②中川保雄著『増補版:放射線被曝の歴史』(初版1991年)
明石書店
2011年10月20日増補版第一刷
ISBN: 9784750334820
本体2,300円+税
http://www.akashi.co.jp/