沖縄米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題が最大の争点となる名護市長選挙が1月12日、告示された。いずれも無所属で、再選を目指す現職稲嶺進氏(68)=共産、生活、社民、沖縄社大推薦=と新人の前県議末松文信氏(65)=自民推薦=、の2人が立候補を届け出た。19日に投票、即日開票される。日米両政府が普天間の移設・返還で合意した1996年以降、移設が争点の市長選は5回目。前々回までの3回は容認派が勝利し、前回初めて反対派の稲嶺氏が当選した。今回は、反対を掲げる稲嶺氏に移設推進の末松氏が挑む構図で、沖縄はもとより日本の命運を左右する重大な選挙だ。
県議会が「言語道断、仲井知事は信を問え」と決議
沖縄県議会は10日、「仲井真弘多知事は、米軍基地建設のための辺野古埋め立てを承認しながら、『県外移設の公約を変えてない』と非を認めず、開き直る態度は不誠実の極みだ。これほど民意に背を向けた県知事はいない。戦後69年、復帰後42年を迎えようとする中、昨年1月の県民総意の『建白書』に込めた決意を否定し、県民の中に対立を持ち込むもので、言語道断である。沖縄の自立を遠ざける方向へ後戻りを始めた仲井真知事は、公約違反の責を認め、その任を辞して県民に信を問うよう求める」との決議文を知事宛に提出した。
「沖縄人の苦難を永続させる」と世界の著名人が声明
本土の関心は今ひとつの感じで、マスコミの取り上げ方も弱い印象をぬぐえない。ところが、海外著名人の関心は高く、オリバー・ストーン氏ら29人が1月7日、辺野古移設反対の声明を発表。『県民の民意を反映しておらず、沖縄の人々の苦難を永続させることになる』と批判した。
毎日新聞8日付夕刊が伝えたもので、「ストーン氏(アカデミー賞受賞者)に加え、『敗北を抱きしめて』の著書で知られるジョン・ダワー氏、ベトナム戦争時の国防総省極秘文書を暴露したダニエル・エルズバーグ元国防次官補佐官も名を連ねている」という。
本土からの抗議が希薄だ
琉球新報11日付朝刊は「沖縄の正当性の証明だ、もっと世界に訴えよう」と題する社説を掲載。「声明は、その内容に意義がある。日米両政府に対する本質的批判が並んでいるからだ。中でも、沖縄の現状を『軍事植民地状態』と言い切ったのが画期的だ」と高く評価している。また同紙は「毎日」が挙げた著名人3氏のほか、ノーム・チョムスキー氏(言語学者)マイレッド・マグワイア氏(ノーベル平和賞受賞者)マイケル・ムーア氏(アカデミー賞受賞者)らの文化人を紹介していた。
本土の知識人をはじめ国民がもっと声を大にして、沖縄差別の実態を批判すべきではなかったか。いまからでも遅くはない。日米両政府に対し再検討を迫るべきである。
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