国会事故調査委員会(黒川清委員長)が「福島原発事故調査報告書」を衆参両院議長に提出してから2カ月以上経つのに、国会が真剣に受け止め、対応策を示す動きは皆無と言っていい。国会議員は目先の政局に振り回されるだけで、折角の提言が放置されていることに国民の不信感は高まっている。
国会の劣化に腹を立てたメディアコンサルタントの牧野義司氏(元毎日新聞記者)は、朝日新聞9月17日付朝刊「私の視点」欄に「国会事故調提言の実現を国会は急げ」と題して寄稿。「国会事故調が最終報告書で打ち出した7つの提言の国会対応が宙に浮き、最悪の場合、お蔵入りになる恐れがあることだ」との鋭い警鐘に、共感した。
「7つの提言のうち、国会議員に取り組むよう求めた点が二つある。一つは、原子力規制当局を監視する常設委員会を国会に設けること。もう一つは、政府や原子力事業者から独立した民間の専門家でなる第三者機関を国会に設け、原発事故の未解明部分の究明を行うことだ。……求められた提言を国会が放置するなら自殺行為に等しく、許されるべきではない」との論旨はまことに明快である。
ともかく、国会の職務怠慢、問題意識の欠如は甚だしい。国会事故調報告を生かす施策を、国会は早急に示してほしい。
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