世界平和アピール七人委員会は総選挙公示を前に10月7日、「国民不在の政権奪取ゲームに躍らされてはならない」と題する、以下のアピールを発表した。
世界平和アピール七人委員会は1955年、平凡社社長で世界連邦運動に活躍した下中弥三郎氏の提唱で、日本初ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士、日本婦団連会長の平塚らいてう氏、東大総長の茅誠司博士ら、当時の日本を代表する無党派の知識人7人で結成された。以後今日までメンバーは代わったが、平和と核兵器廃絶を内外に訴え続けてきた。今回は通算127回目のアピール。
現在の委員は武者小路公秀(国際政治学者・元国連大学副学長)、大石芳野(写真家)、小沼通二(物理学者・慶応大名誉教授)、池内了(宇宙物理学者・名古屋大学名誉教授)、池辺晋一郎(作曲家)、髙村薫(作家)、島薗進(宗教学者・上智大教授)の7人。先月2日に92歳で逝去された元長崎大学学長で反核運動を指導された土山秀夫氏は、長らく七人委員会のメンバーとして活躍された。
国民不在の政権奪取ゲームに躍らされてはならない
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晉一郎 髙村薫 島薗進
安倍晋三首相の臨時国会冒頭解散から10月22日の衆議院選挙に向けて、日本の国のかたちの根幹が、日に日に戦後最大の激動を続けている。
安倍首相は、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽などに見られる情報操作によって国民の判断を誤らせたこと、森友学園・加計学園に見られる政治の私物化・不公平化と、国民とその代表機関である国会への説明を拒否したことによって人間性が欠如した政治家であることを露呈した。
私たち世界平和アピール七人委員会は、日本国憲法の下で積み上げてきた国のかたちを、特定秘密保護法、安全保障関連法、共謀罪法によって根本から否定する立法の、相次ぐ世論無視の下での強行を、既成事実として認めることはできない。
自衛隊が集団的自衛権を含めて米軍の傘下で一体化した活動を行っている現状が、日本国憲法の前文と第九条の一、二項と矛盾しているからといって、直ちに現行憲法に自衛隊を明記し、国民投票を目指そうとする動きは、日本人が70年間大切に積み上げてきた民主主義への思いとまったく相容れない。いまここで現行憲法に手を加えなければならない必要はどこにもない以上、改憲は無用であり、無用なものを押し通す勢力に対しては、あらゆる力を結集して阻止していかなければならない。
与党勢力に立ち向かうはずの野党が、集団的自衛権行使の容認、安全保障関連法容認、憲法改正賛同の動きを顕在化させた与党の補完勢力と、これを否定する護憲勢力に分かれているのが実情である。従って、この状況は、3つの勢力からの選択の選挙ではなく、民主主義を大切と思い歴史の流れを進める勢力と逆行させる勢力の2者からの選択と考えなければならない。
私たちは、一人一人の基本的人権が尊重され、武力行使に訴えることがなく、立法・司法機関が行政機関とのバランスを回復する日本を目指したい。また、互いの基本的人権を尊重して一歩一歩歩んでいく世界にしていくことに努めたい。
連絡先:http://worldpeace7.jp
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