報告:(10/23)、大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合

みなさま(重複失礼、転送歓迎です)

FoE Japanの満田です。
昨日(10/23)、大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合が開催され
ました。11/2の有識者現地調査に向けた前打ち合わせと情報共有がメインでした。
座長をつとめたのは、規制委員会の委員長代理の島崎邦彦氏です。
委員一覧&議題
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/ooi_hasaitai/data/0001_99.pdf
資料一覧:
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/ooi_hasaitai/20121023.html

この間、ずっと市民側が求めていた東洋大・渡辺満久教授も加わり、下記を主張
しました。

・調査団のメンバーは、旧保安院の意見聴取会の専門家のように助言役ではなく、
審問審査会委員と同等の役割を持つべき。調査対象の断層が活断層であるかどう
か、調査メンバーが判断する。旧保安院の意見聴取会の専門家は意見を述べるだ
けで、決定は事務局が行っていたが、これを踏襲することは許されない。まず、
専門家が責任を持って判断すべき。

・新たな調査によって活断層であるか否かを検証する十分な証拠がえられなかっ
た場合の判断基準を、規制委員会はあらかじめ明確にしておく必要がある。この
場合は、「活断層である可能性を否定できない」ことになろう。

・活断層の定義について:「地震を起こすもの」とか「揺れにより誘発されるも
の以外」とかいう限定を行わず、活動履歴のみで判断すべき

・「活断層でないこと」を示す明確な証拠が見つからない限り、「活断層である
可能性」を否定できない。
(渡辺満久氏の提出資料↓)
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/ooi_hasaitai/data/0001_08.pdf

終了後の会見で、島崎氏は、「40万年前以降に動いたもの」を活断層と見なす
可能性についてふれているようです。今日の報道に注目しましょう。

所感)
・事務局が長々と指針類に関する説明を行った後で、満久教授が、「指針を守ら
なかった人たちに言われたくない」と発言したのには内心快哉を叫んでました。

・島崎委員の仕切りもなかなかよいのですが、もっと満久教授の要請を真摯にう
けとめて議論をするべきだったと思いました。
また、「政治的なものには踏み込まない」と切り分けるのには疑問を感じました。
大飯原発の運転そのものが政治的なものである以上、科学的な調査を優先させて
大飯を止めるべきというのは極めてまっとうな主張なのですが、それを自主規制
し、他の専門家にも自主規制させている感じです。

・東日本大震災などを踏まえた安全審査指針の改定案がでてきたのには少し驚き
ました。うかつながら知りませんでした。主に「津波」について改定をしている
とのこと。
地震に関しては地殻変動の考慮、活断層の評価には「不確かさ」を考慮するこ
と、応力場についての検討、地震による変化を考慮すべきなどを追加しているそ
うです。下記の23枚目から。 http://t.co/vRJ6iVxx

下記はメモ代わりにツイートしていた中から拾った主な発言です。

冒頭、島崎委員より:
傍聴を意識して、専門用語は使わないこと。政治的なことなどは考え
ずに、純粋に科学的な議論を行う。行政的な責任はあくまで原子力規制委員会が
持っているが、みなさまには科学者としての責任を持ってもらう。
渡辺満久氏より参考資料3については審議の前に確認いただきたい旨の発言。
http://t.co/1sllTrcA
が、島崎委員は、続行。

○規制庁の御田氏がS60~61年の大飯原発の設置許可当時の資料や審査について、
またバックチェック時(平成22年)についての審査について説明。
F-6破砕帯を「問題なし」と判断した経緯を説明。例の隠されていた北面のスケッ
チの図も(51頁)。 http://t.co/WTXvmVbJ
大飯原発の破砕帯について、今年7月、保安院に関西電力から提出された資料を
説明。 http://t.co/Pw7m6ARY 結論として、F-6を後期更新世以降に活動したも
のではないと。(しかし、これは保安院の意見聴取会で、「そうは言いきれない」
ということになったはず)

重松氏:F6断層の3次元的な状況は?
御田:台場浜でみているF6破砕帯とトレントのF6破砕帯は違うのではという指摘
を杉山先生からもいただいていた。
廣内氏:台場浜の西の方のデータはあるのか?
規制庁:いま台場浜でトレンチを掘っているところなので後程説明する。
渡辺満久氏:F-6上の堆積物がずれていないからといって活断層でないというこ
とにはならない。今のところ判断する材料はゼロである。
岡田氏:破砕帯の階級や区分が必要。

○大飯原発破砕帯現地調査についての指針について
規制庁地震津波管理官補佐の渡辺氏より説明。
安全審査指針、安全審査の手引き、東日本大震災を踏まえ、その安全審査改定
案を踏まえ、原子力規制委員会で判断する。(いつの間にか、改定案が!)
http://t.co/vRJ6iVxx
耐震設計審査指針の「活断層」の定義(p.4)。耐震設計上考慮するのは後期更新
世12.6万年以降の活動が否定できないもの。その認定に関しては、最終間氷期の
地層または・・・によるものができる。詳しくは安全審査の手引き。平成20年の
活断層の手引き。認定に当たっては、「安全側」の判断を行う。(すなわち、グ
レーゾーンは黒、という扱いであるべきだということ)
後期更新世以降の断層運動が否定できない場合は、原因となる断層を適切に認定
すること。主断層、副断層、弱層についての考え方についても説明。

東日本大震災などを踏まえた安全審査指針の改定案。主に「津波」について改定。
地震に関しては地殻変動の考慮、l活断層の評価には「不確かさ」を考慮するこ
と、応力場についての検討、地震による変化を考慮すべきなどを追加。下記のの
23枚目から。 http://t.co/vRJ6iVxx

島崎氏:現在指針そのものを改定している段階。プラスαでご判断いただきたい。

渡辺満久氏:いまのお話は何だったのか。安全審査の手引きの委員であった人が
それを守らなかったことを告白している。そういう人たちから守りなさいといわ
れても、そういうことを言われる筋合いはないと考えている。
重要なのは動いたかどうか。複雑にせずに、「最近動いたかどうか」ということ。
審査する立場からすればこれでいいのではないかと思う。統一見解として今後の
審査に入れていただきたい。

島崎:「耐震設計上考慮すべき活断層」というときは後期更新世ということだが。
重松:過去の動きだけにとらわれず、今後動く可能性があるのであれば、それは
活断層と判断するべきでは?
島崎:どう「判断」するのか。過去に何度か活動したということであるいうこと
ではどうか?
岡田:今ここで決めなければならないということではないが…。副断層などあり、
整理が必要。
渡辺:主か副かを問わずに、将来動く可能性があれば、活断層では。
岡田:いろいろな状況を考えなければならない。我々はいままで大きな断層を扱っ
てきたので、整理が必要がある。

○大飯原発破砕帯調査について、事務局小林氏が説明。 http://t.co/Wx7RgSIq
重松:調査の時間は?
小林:まる一日かけられる。
重松:一ロットに時間をかけている。十分な時間がほしい。
渡辺:資料の3に書いたことだが、ちゃんとでなかったら調査をするということ
か。白黒つかなったらどうするのか。
渡辺:今回問題となったトレンチ壁面はもう見れない。白黒つかなければ、活断
層である可能性は否定できない、ということにせざるをえない。
島崎:かつてのトレンチのところを本当は掘ってほしいというのが希望。
事務局の小林氏:志賀原発の場合は、竪穴、横穴をほって、(施設の下にある)
当時のトレンチを見ようとした。

○事務局の小林氏(もと保安院):東北大学石渡教授からの資料提供などに基づ
き説明。 http://t.co/IqD7y1ko
これまで調査を行った3人の地質学者は「石英閃緑岩」の存在を認めていない、
のコメントを紹介。関電の地質図そのものの信憑性が問われているとなぜか得意
そうに追加。

事務局:中田教授からの情報提供を紹介。 http://t.co/XAgxEJto
渡辺満久氏:小浜湾の中に活断層を認めざるをえないという話である。熊川断層
とFoB断層を連続させて考えるべきということ。「念のため」ではなく。

島崎:断層の連続性についてさらなる兆候がでてきたということ。(詳しく説明)。
渡辺:敷地内の話しのみならず、周辺の活断層の評価についても、別の委員会で
組織して見直す必要がある。大飯のみならず、全国的に。

渡辺:参考資料3について。この調査団が意見を述べるだけなく、活断層の白黒
するべき。判断できなかったらどうするのかといういことも含めて。
http://t.co/1sllTrcA
島崎:ただちには判断できないので、また検討しましょう。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion1045:121023〕