2013年7月11日
4月以降、大学教員4人(静岡大学名誉教授/土居英二さん、島根大学准教授/関耕平さん、桜美林大学専任講師/三好ゆうさん)でTPPの影響試算に取り組み、これまでに、第1次、第2次の試算結果をまとめ、記者会見で発表した。第1次は全国レベルの影響(全産業・雇用等への波及効果の試算、及び主要品目別にみた農業所得への影響の試算)であり、第2次は、都道府県レベルの影響ならびに規模別にみた稲作農家の経営収支に及ぼす影響の試算だった。
これらを引き継いで、現在は、第3次の影響試算に取り組んでいる。
土居さんは農林水産物を起点とする全産業へのTPP(関税撤廃)のマイナスの経済波及効果の試算、都道府県内所得が減少し、企業所得と並んで家計所得の減少と、それを通じた家計消費の減少額を新たに試算中である。
私は7月5日の記者会見で発表した「作付面積規模別にみた稲作農家の経営収支への影響」の試算を受け継ぎ、コメどころ・北陸4県の稲作農家の経営収支に及ぼす影響を試算中である。これに必要な資料(過去3年の平均値を計算するために必要な、目下公表外の2009年の作付面積規模別の稲作農家の経営収支)を北陸農政局に依頼して取り寄せ中。
この作業と並行して、規模別にみた畜産農家の経営収支に及ぼす影響の試算にも取り掛かっている。ここでは全国レベルの試算だけでなく、日本一の畜産地・北海道を対象にした試算も行う。北陸の稲作農家といい、北海道の畜産農家といい、規模別にみたら、どのような結果が出るのか、自分でも注目している。
また、関さん、三好さんには畑作農家の経営収支に及ぼす影響を同じく規模別に試算してもらっている。ここでも、お2人は全国レベルの試算と同時に、日本有数の大規模畑作農家が存在する北海道を対象にした試算も手掛けている。
7月中旬には作業を終え、記者会見を開いて試算の結果を発表することにしている。政府・自民党が農業所得倍増計画を掲げる一方で、TPPに参加したら、農家の所得がどの程度、落ち込むのか、選挙公約にどれほどの実現見通しがあるのかを判断する資料として、試算の結果に注目していただけるとありがたい。
初出:「醍醐聡のブログ」より許可を得て転載
http://sdaigo.cocolog-nifty.com
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座
http://www.chikyuza.net
〔opinion1367:130711〕