活発な投票キャンペーンiVote
世界で今若者の動きが目立っている。香港、雨傘運動、台湾、ひまわり運動、そしてアメリカはサンダース現象が起きた。スペインでは怒れる若者たちの政党「ポデモス」が勢力を伸ばしている。そして日本にもシールズが登場した。
おりしも今回の選挙から18歳以上の若者も選挙権を行使できるようになった。18歳、19歳、20歳にとっては初選挙になる、その数およそ240万人、有権者が増える。
わたしは6月下旬から、京都のコミュニティラジオ局「三条ラジオカフェ」で、高校生、大学生に出演してもらう番組「私は選挙に行きます」を10回にわたって放送した。
20代前後の学生たちには、奨学金返済の負担、アルバイト先のブラック企業、最低賃金の引き上げなど経済問題が重くのしかかっている。また集団的自衛権、安保法制、憲法問題、など、戦争へ向かうとする日本の現状に対して危機意識が強い。戦場に駆り出されるのは彼らに他ならない。
ラジオに出演してくれたすべての学生は今回の選挙で投票することの重要性を語ってくれた。京都で活発な動きを、以下に紹介しよう。
龍谷大では先生方と学生が京都市選挙管理委員会に働きかけた結果、7月7日、8日の二日間、深草キャンパス学友会館に期日前投票所が設置されることになった。京都でははじめとのことだ。龍大の周辺の住民も利用できる。また、住民票が京都以外の親元にある学生も、簡単な手続きで不在者投票ができるようになった。木津川市選管も市内の二つの高校に期日前投票所を開設した。全国では大阪、神戸、横浜など政令都市を含む大学85か所で期日前投票所が設置された(京都新聞6/11)。
学生の間にはiVote関西という組織ができて活発に活動している。また彼らの手でインターネット上にSeiZee(しじー)というサイト「若者と政治をつなぐメディア」も生まれた。若者の無関心を打ち破ろうと毎日多くの選挙についての情報を掲載している。私の知る限り,龍谷大、京都産業大、立命館大、京大などの学生およそ300人が熱心に活動している。
ネット上には「若者よ、未来を創れ、主役は俺たちだ」というキャッチコピーが勢いよく踊る。頼もしい限りだ。前回の参院選での20代の投票率は32.58%にとどまったが、今回は大幅な上昇が期待される。この新しい動きは未来を拓くカギになるだろう。
2回しかなかった党首討論、テレビ積極報道欠く
ところで前回の2014年12月の衆議院選挙に比べて、新聞やテレビの情報量少ない。NHKが週末に政党討論をやるのは当然として、NHKニュース7で「注目の選挙区」を放送しているが、これはいわゆる〝情勢レポート〟にとどまり、争点を掘り下げてはいない。目立ったのは、テレビ朝日「報道ステーション、党首討論」(6/21公示前日)、TBS「ニュース23、党首討論」(6/24)、テレビ東京の「池上彰の選挙に行こうスペシャル」(7/3)の三番組だった。それ以外選挙に関連する番組はほとんど見かけない。
21日の報道ステーションの党首討論では、自民党安倍総裁は番組の最後で発言しようとする民進党岡田党首を、時間がないとさえぎり、発言を促した司会の富川悠太氏を非難する一幕があった。岡田氏は公示後にテレビ党首討論が一度もないのは異常だと、再度の開催を主張、他の野党党首も同調した。この結果かどうか、予定になかったTBSニュース23が6月24日に急遽党首討論を組み込んだ。
12年の衆院選5回、13年参院選4回、14年総選挙3回と公示以降のテレビの党首討論は年々減少している。また党首討論以外にも前回の総選挙では、ワイド報道番組が選挙をテーマにした特別番組を数多く組んだが、今回はほとんど扱わない。
原因の一つに挙げられるのは、前回選挙にあたって、自由民主党がテレビ東京キー局に対し以下のような要望書を送り付けたことである(14年11月20日)。
「出演者の回数時間に公平を期してほしい、ゲストの選定も公平中立に、街頭インタビュー、資料映像も偏らぬよう、反安保、反自民など特定のテーマへの偏りを行わぬよう」。
また高市早苗総務相が「公平を欠く番組を放送すれば免許廃止も」(2/8)と発言している。キー局が〝面倒を起こすことを嫌って〟自粛しているとすれば大いに問題だ。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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