総選挙の結果から見えてきたこの国の今後
「いよいよ日本が大軍拡へ向かって突っ走ることが確実になったな」。2月8日に行われた総選挙の結果を見て即座に思ったのはそういう将来展望だった。防衛力(軍事力)の強化を狙う自民党が単独で議席の3分の2を獲得するという圧勝で、戦後日本にこれまでなかった強力な政権が誕生したからである。戦後日本は大転換期を迎えることになる。
自民党は、今回の総選挙にあたって、『日本列島を、強く豊かに。』と題する「令和8年 政策パンフレット」を発行した。いわば同党の総選挙公約である。
「防衛力の強化」を約束
その中に、こうした文面がある。
<わが国を守る責任。国際秩序を担う日本外交。~国際社会分断の壁を超える~>
国力の根幹である経済力と防衛力を高めることで外交力を強化し、「世界の中心に立つ日本外交」を取り戻します。同盟国・同志国との連携を強めつつ、わが国の防衛力を強化し、 災害・テロ・サイバー攻撃など複合的な危機にも対応できる安全保障体制を実現します。
<安全保障>
●中国の軍備増強、北朝鮮の核・ミサイル開発、ロシアによるウクライナ侵略など、地政学的緊張が常態化する中、現実の脅威に毅然と対峙し、国民の生命・財産、領土・領海・領空を断固として守り抜きます。
●「新しい戦い方」への対応、継戦能力確保やわが国の太平洋側での活動への対応の重要性などを踏まえ、本年中に国家安全保障戦略を含む「三文書」を改定し、新たな時代に対応した防衛体制を構築します。
<わが国を守る責任。国際秩序を担う日本外交。~国際社会分断の壁を超える~>では、「防衛力を高める」「わが国の防衛力を強化し」と、2回にわたって防衛力(軍事力)の強化を強調している。同党の意気込みが分かろうというものだ。
<安全保障>で、「三文書」の改定を明言していることに注目したい。「三文書」といえば、岸田政権が2022年に閣議決定した日本の防衛政策を決めた三つの文書の総称だ。その三つの文書は「日本安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」といい、「防衛力整備計画」には「2023年度から2027年度までの5年間における本計画の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額は、43
兆円程度とする」と書かれている。
自民党はこの「三文書」を2025年度中に改定したい、というのだ。高市首相は、防衛費増額にあたっては、現行の国内総生産(GDP)比2%から「2%超」を視野に入れているとされる。
維新の会と組んで防衛力強化へ
さらに、自民党は、総選挙前の2025年10日20日に日本維新の会との間で「連立政権合意書」を交換している。その中に、こんな個所がある。
<外交・安全保障>
▽戦後最も厳しく複雑な戦略環境の変化に伴い、戦略三文書を前倒しで改定する。
▽わが国の抑止力の大幅な強化を行うため、スタンド・オフ防衛能力の整備を加速化する観点から、反撃能力を持つ長射程ミサイルなどの整備および陸上展開先の着実な進展を行うと同時に、長射程のミサイルを搭載し長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦(注・垂直にミサイルを発射できる原子力潜水艦のこと)の保有にかかる政策を推進する。
▽防衛生産・技術基盤を強化する観点から、26年通常国会において「防衛装備移転三原則の運用指針」の5類型を撤廃し、防衛産業にかかる国営工廠(こうしょう)および国有施設民間操業に関する施策を推進する。
ここからは、「三文書」の改定以外に両党が防衛面で大規模な計画を進めようとしていることが見て取れる。総選挙後も、自民党と維新の会による連立政権が続くならば、両党はこれらの合意の実現のため動き出すだろう。
「国民負担が増えても防衛費増額を」と自民候補者
そのうえ、総選挙中、目に止まった新聞記事があった。2月7日付朝日新聞朝刊に載っていた、朝日新聞社・東大谷口研究室の共同調査結果だった。衆院選の候補者に日本の防衛費について問うた調査だが、「国民負担が増えても大幅に増額すべきだ」と「国民負担を増やしてまで増額すべきではない」のどちらの考えに近いかを尋ねたところ、自民候補者は「防衛費増」重視派が53%で、与野党の中で唯一、5割を超え、「国民負担」重視派は3%にとどまったという。やはり、自民党員は防衛費拡大に熱心なのだ、と思い知らされた。
ともあれ、これから先、自民党単独政権であっても、あるいは自民党と他党との連立政権であっても、堂々と防衛費の増額に邁進するだろう。なにしろ、自民党は衆院議席の3分の2以上を占めるのだから、衆院で可決した議案が参院で否決されても再び衆院で可決すれば法案は成立する。となれば、国会には、もう阻む者はいない。これでは、思い立ったことは何でも実現する。自民党にとって長年の懸案だった日本国憲法の改正も発議できる。
今こそ、市民あげての平和運動を
スウェーデンにあるストックホルム国際平和研究所によれば、2024年の日本の防衛費(軍事支出)は前年比21%増の553億ドル(8兆3700億円)で、世界10位だった。これから先、年ごとに防衛費が増えるとなると、世界でのランキングも今よりは上がることは確実だ。
では、日本の軍拡化をどうしたら止めることが出来るのか。平凡な発想だが、広範な市民による平和運動を高揚させる以外にないのではないか。
「リベラル21」2026.02.10より許可を得て転載
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-6978.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14677:260210〕









