大飯原発の活断層調査難航、「新安全基準」来年に持ち越し

著者: 池田龍夫 いけだたつお : 毎日新聞OB
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国内で唯一稼動中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)直下の活断層の可能性について、原子力規制委員会の調査団が11月2日に現地調査。4日と7日も調査して協議したが、結論に至らなかった。

活断層調査で規制委委員会の意見も真っ二つ

国の基準では活断層上に原発関連施設を作れないが、関電は独自調査で「地層のずれは、地滑りによるもの」などとしていた。これに対し、規制委は関電が掘ったトレンチ(溝)のボーリング調査し、「地層のずれは12万5000年前以降のものと確認した。しかし、規制委内部でも、その解釈で対立。渡辺満久・東洋大教授は「原発の最重要施設の直下に活断層が存在する。走る方向も傾斜も同じ。すぐに原発を止めて調査すべきだ」と警告している。岡田篤正・立命館大教授は「地形などから地滑り的に見える。局地的な現象だけで結論づけるのは危険」と反論、規制委内部の真っ向対立が気がかりだ。

「濃いグレーなら、原発停止」と言うが……

このため規制委は11月22日、関電に追加調査を指示した。月内に再調査を始めるが、当初年内としていた最終報告は大幅にずれ込むことになった。関電の再調査が出たところで、規制委はこれを鵜呑みにするわけにはいかず、独自調査しなければならない。

田中俊一・規制委員長は「黒や濃いグレーなら運転停止を求める」と明言しているが、規制委が「新安全基準」を早急に公表できるか、心許ない。

今後のボーリング調査も大変

今後、具体的には、①敷地内北側のトレンチの幅を南に5㍍程度広げ、長さを東西に計40㍍余り延ばす②延長後の同トレンチの周辺13カ所でボーリング③山頂トレンチを北に延長し、北側4カ所でボーリング調査――を実施し、破砕帯の広がりの範囲や、地層の滑りと破砕帯との連動の可能性を確認するというが、日時を要する難作業となろう。
これでは「暫定基準」によって再稼動させた大飯原発2基は、来年も稼動し続ける。規制委は、この難局を来年中に乗り越えられるだろうか。「脱原発依存」の社会的ウネリは日ごとに高まってきており、近づく総選挙の重要争点にもなってきた。

毎日新聞11月25日付社説が「追加調査をするにしても、運転を止めてから行うのが筋だろう。規制委は稼動停止を関電に要請すべきだ」と主張していた通りである。

「脱原発」の方針を鮮明にせよ

野田佳彦政権は「30年代に原発ゼロ」政策を打ち出したものの、その後の実行を逡巡している姿勢は不可解だ。政府は、規制委に難題を押し付けるだけでなく、「脱原発」の方針を堂々と明示すべきではないか。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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