前民主党政権の下で、密かに進められた事実上の改憲と為る「秘密保全法」が、安倍政権の手で現実に制定されようとする事態を迎えました。 「政府は、外交・安全保障政策の司令塔となる日本版『国家安全保障会議(NSC)』創設に向け、国の機密情報を流出させた国家公務員への罰則強化を盛り込んだ「特定秘密保全法案」(仮称)を秋の臨時国会に提出する方向で調整に入った。」と7月27日に報道されたからです。
http://jp.reuters.com/article/kyodoPoliticsNews/idJP2013072701001422
秘密保全法案、臨時国会に提出へ ロイター 2013年 07月 27日
既に、安倍首相は、本年4月の国会で「特定秘密保全法案」の整備に意欲を示し、「国会提出できるよう努力したい」と述べて居たのです。 日本版「国家安全保障会議」(NSC)の創設と、情報漏えい防止等の国家機密保護その他国民の権利制限に新法が必要と判断していたようです。 その内容は、報道にある「国家公務員への罰則強化」のみではありません。 広範な国民一般に適用される内容を含んだものになるでしょう。
この法案の基本は、2011年に、政府の検討委員会に対して有識者会議が提出した報告書であり、「国の安全」「外交」「公共の安全および秩序の維持」の3分野について、特に秘匿を要する「特別秘密」を漏えいした場合、重罰を科すものです。
しかし、この法案には、現日本国憲法で明文化されている基本的権利の制限を可能にする諸種の問題点があります。 一番の問題は、一度、制定されてしまうと、際限無く拡大解釈されてしまい、事実上は、大日本帝国憲法(明治憲法)下の「治安維持法」の如く、国民の諸活動の規制に利用され、制限される基本的権利は、単に言論出版の自由に止まらず、国民の日常生活規制に際限が無くなり「警察国家」になることです。
嘗ての治安維持法でも、制定当初は、その適用には法文上制限が存在しましたが、改正に依り「結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為」(治安維持法第一条)が加わったことに依り、ありとあらゆる事象への適用が可能になったのです。 ところが、秘密保全法にある「公共の安全および秩序の維持」の文言は、制定当初から拡大解釈に利用されるものであり、言葉を換えた治安維持法と為るものです。
具体例で云いますと、「たんぽぽ舎」様からの原発反対に関わるメール情報が、政府の下で「特定秘密」として「原子力発電に関わる秘密事項」と指定されて居れば、違法と判定され、関係者は逮捕・勾留され、「たんぽぽ舎」が家宅捜査される事態になりかねません。 寧ろ、それが狙いと云って良いかも知れません。 そして、関連記事を掲載した「ちきゅう座」関係者も、勿論、逮捕勾留され、事務局は家宅捜査される憂き目になることは必定でしょう。 この法が目指すものは、事実上の憲法改正です。 何も改憲をしなくても国民の耳目を塞ぎ、その抵抗行為を、秘密保全に反した行為と認定し逮捕勾留出来れば目的を達することが出来るのです。
法案の基本が、民主党政権の下で出来ていたことは重要な事実を示唆しています。 自民・民主ともに、この法案成立を目標にしているのです。 しかもその原動力は、矢張り米国です。 「日本の『秘密保全法』も、日米軍一体化を進めたい米国からの〈機密情報保護立法化〉要請が発端だ。その後、07年に締結した日米軍事情報包括保護協定を受け、米国から改めて軍事秘密保護法の早期整備要求がきた。」(いま、最も危険な法案とは?)事実があるからです。 しかし、法の規制が軍事に限られる保障等は何処にもありません。
ファシズムは、静かに私達を鉄格子の中へ入れるのです。
http://blogs.yahoo.co.jp/bunbaba530/67754267.html#67755052
いま、最も危険な法案とは? ジャーナリスト堤未果のブログ
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html
秘密保全法制とは? 日本弁護士連合会