小出先生、「人間には覚悟が要るが、原発は覚悟はできない…」

著者: 松元保昭 : パレスチナ連帯・札幌 代表
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小出先生の「たね蒔きジャーナル」3月7日分の転送です。きょうは原発推進側の東工大の澤田哲生さんとのお話を交えてスタジオ出演です。

小出先生、「どんなに工学的な条件を整え耐震補強したとしても、人間のやることには覚悟がいり、しかし原発には覚悟はできない」のだと、語っています。

●「小出裕章非公式まとめ」に生の声がアップされています。http://hiroakikoide.wordpress.com/

=====以下転送=====

 永岡です。毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞専門編集委員の近藤勝重さん(東京)の案内で、さらに小出裕章先生、昨年来ずっと電話出演でしたが、今回はスタジオで、原発推進側の東工大、澤田哲生さんとのお話もありました。ちょっと長いですが、お付き合いください。

 リスナーより意見、質問が殺到しています。

 小出先生、初のスタジオ出演であり、いつもデータのあるところにいたい(戦場にいたい)と言われていました。もう一人、澤田さん、東京から来て、大学まで関西にいたと言うことです。

 これからの原発政策、小出先生、40年間一刻も早く止めるべきと言い、それが出来ないまま事故を起こした、即刻原子力を全廃して欲しいと言われました。

 澤田さん、続けていくべき、今回の震災と津波でやられたが、女川や東海は停止しており、その意味を考えてほしい、原発は日本のエネルギーだと言われました。

 リスナーより、原発推進の人は表に出ない、澤田さん、相当な信念と言われて、近藤さん、小出先生も原発を勉強しようとした、それで考えが変わった、事故が起きても変わらない人もいて、それを聞きたいと言うことです。

 リスナーより、澤田さんに、福島を2度と起こさない自信はあるかについて、それは言い切れない、仮にあのような過酷事故が起こっても、今回のような放射能を出さない方策はある(今回より少なく)、工学的な機械を付けることは出来ると言うことです。

 また、原発に変わりこの国を支えるエネルギーについて小出先生に、短期的には火力しかない、石炭・石油・天然ガスは地球が蓄えた資源であり、ウランも長い年月をかけて作った、それを人間が使い切ろうとしている、数百年後は再生可能エネルギーを利用するしかない、それにかじを切るべきと言われました。

 原発のニュース、福井県の大飯3,4号機のストレステストの結果について、安全委員会、保安院の結果に厳しい意見が出て、事故の時に作業員が行く場所なし、津波が遡る想定なしとなり、傍聴者もいたものの、保安院に落胆しています。

 野田総理は原発対策は大事と言い、事故の進展に沿ってやっているといい、再稼働を急いでおり、地元の理解を得ているかを見て、最後は政治が判断すると言うのです。

 そして小出先生、澤田さんのお話、小出先生呆れた話(政治が判断する)、何としても原子力をやると宣言しており、今まで保安院、安全委員会が確認しながらこの事故で、そういう人が一切責任を取らず、計算していままでどおりでお墨付きということで、政治が決断するなら、「どうにもならない国」と言うことです。

 澤田さん、ストレステスト、7月6日に菅総理が条件として、1次、2次評価があり、中身をどう評価するか未定で、1次評価は再稼働の判断材料であり、2次は総合安全評価で、電力会社が答案を考えて出して、事故後で応急的な処置(電源車など)をやり、従前より設計上に余裕が出来たものの、津波の駆け上がるのを考慮せず、処置の前と後を比較して、単純な評価であり、ストレステストが再稼働の条件として妥当とは分からない、それを理由に政治的に再稼働をするもので、科学的な客観性はないと言うことで、2次評価は安全評価で、安全評価OKと、科学的に信頼性があるかは違うと言うことなのです。1次評価は政治的なものなのです。どういう評価が要るかは不明で、判断するのが政治家と言うのであり、津波の議論もあり、地元の理解を得るのが大変とのことでした。

 そして、日本の原発をどうするについて、続いて小出先生と澤田さんのお話があり、リスナーより質問が殺到し、この1年大変であり、政府・東電の言う冷温停止「状態」について、澤田さん、本当に冷やされているかについて、ポイントは二つ、壊れた燃料がどこかにあり、圧力容器の底か、それを突きぬけているか(格納容器)、実際不明であり、見ないと分からず、計算結果は単純な評価であり、それが冷やされているか、温度計のデータを見ると冷えている。注水、循環冷却系で冷やしており、そこを回る水の温度を見たら、格納容器の底に部分的に熱いところがあるかも知れないが、極端にはなっていない。圧力計もあり、十分に冷やされていたら蒸気は出ず、圧力容器の中のものが蒸気に乗って外に出ることが少なくなり、これを見ると、冷温停止「状態」が何を言うかは不明だが、安定的に冷えていると言うことです。

 小出先生のお話、大切なのは放射能が環境に出て被曝することで、融けた炉心がどこにあるかが一番大切で、これが土台であり、冷温停止は圧力容器が健全で水を入れられて100度以下、しかし圧力容器は抜けており、落ちた先は格納容器、最後の防壁であり、これが破壊されている可能性があり、格納容器の中にあるかが大変であり、確かめられない。測定器もない。分からないのが原子力に問題で、分からないのに安定とは正しくないと言うことです。炉心が格納容器を潰している可能性があるなら対策(地下ダム、遮水壁)がいると言うことです。

 4号機、小出先生、事故の時に停止しており、使用済み燃料プールに1500歩ほどあり、1331体が放射能の塊(原子炉には548体しか入らない)、原子炉の中の2.5倍の燃料があり、3月15日に爆発して、プールの上でも爆発+プールの階も爆発、プールが健全か不安で、東電も耐震補強を行い、工事は被曝下で困難、もし大きな余震が来てプールが壊れたら、燃料を冷やせず、大量の放射能が出る可能性があり、余震が来ないでくれと願っているのです。

 澤田さん、4号機について、事故後早い時期に言われていたが、プールは空になっておらず、次の大きな地震が来る可能性があり(スマトラでも2年後に来ている)、しかし4号機は事故後に比べたら作業員が当時よりアクセスしやすく、対応しやすいと言うことです。

 リスナーより、作業員のこと、過酷な労働を強いられ、それでも原発を推進する根拠について、澤田さん、現場の作業(9~10次下請け)、直接どういう人が作業しているか聞いているが、被曝管理が甘く(確認できない)、水素爆発時に高濃度の放射能が付いた瓦礫が散乱し、それを無人の機械で片づけて、今の作業の被曝は、以前より軽減している、しかしガンマー線が出るので管理が大変で、1~3号機もやられており、これを何とかしないといけないが、ロボットも使えず、1年経ちつなぎであり、1~3号の炉心回収を本格化しないといけないのです。

 小出先生、これから要る作業員は、チェルノブイリで1基収束に60~80万人の軍人、労働者が要った、日本でそれだけ集められるのか、と言うことです。福島だと3つは爆発、4号機も危険で、事故継続中であり、どうやって収束するか、人類の経験したことのないもので、何万人いるか、万の単位では足りないか、分からないのです。

 澤田さん、チェルノブイリと福島の違いがあり、チェルノブイリは格納容器なし、爆発、黒鉛火災があり、燃料がいきなりむき出しで、これを止めるために事故後1週間に何十万投入されている、福島はチェルノブイリと違うと言うことです。出た量は、ベクレルは一桁下がる(議論あり)、環境に出た面積、深刻度は、チェルノブイリは200~300kmに渡り、チェルノブイリは初期に数十万投入した。福島も炉心の回収は大変で、人を使うと被曝する、どうしたら出来るか、これからのチャレンジで、冷温停止状態なら、時間的な余裕があり、冷却ループがあり、1~3号機から出る放射能は減っているので、次の策を練れるのです。

 近藤さん、今まで国策で議論なしでやって事故があり、政治決断と言うなら、総選挙をやれと言われました。原発に国民の意思を問うべきなのです。国民投票もあり、これは法律が要るので、選挙なしで再稼働は言い過ぎと言われました。

 リスナーより澤田さんに質問で、どうして推進すべきか、地震大国で危険である、電力不足から要るのかということで、地震は今回の津波をかぶったのは女川、東海とあり、地震でプラントがどうなったか、一体の原発も検証して、重要なところが壊れたかどうかであり、調べたら壊れない原発を作れると言うのです。この20年、地震の知見が大きくなり、断層も見つかり、数年前に耐震性の見直しをして、断層のデータと参照して妥当か考えるべきなのです。将来的には、新しい原発は免震構造も出来ると言うことで、なら近藤さんより、なぜ浜岡を止めたかについて質問があり、あれは止める必要はなかったと言うことで、菅総理は絶対に耐えられないと言っており、岩盤の問題であると言うことです。福島は福島だから起きたのかという質問について、科学と工学の問題で、しかし水野さん安全かと言うことであり、日本の17か所に原発があり、立地は違い、工学的には、条件を設定したら設計できる、地震、津波の条件が、新しい断層に耐えられるかは別なのであり、耐震補強で間に合うかは問題。浜岡では1,2号機は耐えられず廃炉にされたのです。

 小出先生、安全な原発は出来ない。浜岡1,2号機は東海地震を予想せずに作り、東海地震に対して補強したらお金がかかりすぎてアウト、しかしみんな同じであり、時が流れたらまずいところが出来て、人間のやることには、覚悟が要り、原子力には覚悟は出来ないと言うことでした。

 澤田さんに質問が殺到して、核のゴミ問題もあり、地震について、地震が心配なら地震計の感度を上げたら制御棒が速く入る。なぜそこまでして、については、日本はこういう状況だが、韓国は原発を増やす、中国も100基作る、それに積極的に日本も関与すべきと言うことでした。

 小出先生は正反対、韓国、中国も原発をなくす、そのために日本がなくすべきなのです。

 今日は、この番組に昨年の、原子力委員の住田さん以来の推進派のお話がありました。以上、お知らせいたしました。

 なお、今出ているビッグイシューの3月1日発売号(私は今日GETしました)、ナンバー186に、原子力資料情報室の伴先生による2月11日の脱原発行動報告+2号機の謎、福島の除染の小記事があり、さらに、雨宮処凛さんが被災地をルポした詳細な報告が載っています。

http://www.bigissue.jp/latest/index.html

興味ある方は、街頭で売っていますのでどうぞ。