小出先生、「個人の責任を問うべきでない」という原子力学会に、「驚き、呆れ、悲しむ」

著者: 松元保昭 : パレスチナ連帯・札幌
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みなさまへ   松元
小出先生の「たね蒔きジャーナル」8月16日分の転送です。

日本原子力学会は、「個人の責任を問わない」という要請を事故調査検討委員会に向けて声明を発表しました。

これに対して小出先生、「原子力関係者で責任をとったものは、これまでも一人もいない」、「ただただ驚き、呆れ、悲しむ」しかない、と語っています。

●7月7日、日本原子力学会プレスリリース:福島第一原子力発電所事故「事故調査・検討委員会」の調査における個人の責任追及に偏らない調査を求める声明
http://www.aesj.or.jp/info/pressrelease/pr20110707.pdf

「…の現場で運転、連絡調整に従事した関係者はもとより、事故炉の設計・建設・審査・検査等に関与した個人にたいする責任追及を目的としないという立場を明確にすることが必要である。」

●事故調査・検討委員会の畑村洋太郎委員長就任時抱負「責任追及は目的としない」

★驚くべきはひと言の「謝罪」声明もなしに、8月15日の言い訳がましい「事故調査に関する声明について」では、その冒頭で、「当学会は高い倫理観をもって」ということばで始まっていることだ。「倫理」も「学問」も責任回避の隠れ蓑でしかなくなった。倫理も学問も核燃料とともに地に堕ちた。責任逃れのニッポン、変わらず!(松元)

●8月15日事故調査に関する声明について
http://www.aesj.or.jp/information/fnpp201103/chousacom/aboutstatement20110815.pdf

=====以下転送=====

永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞ほっと兵庫編集長の平野幸夫さんの案内で放送されました。球児が打たれてケタクソ悪い!真弓監督と、菅総理の命運、どっちが先に尽きるのでしょうか?(笑)。

 原発関係のニュース、北海道泊原発再稼動、高橋知事がOKを出す模様です。調整運転(実態は営業運転と同じ、法的に違う)から営業運転を認め、海江田大臣がOKを出す、ストレステストなしに営業運転になるのです。

 福島原発、高濃度汚染水処理施設でトラブル続きで、新しい施設が導入され、毎日400トンの汚染水+台風で2000トンも増え、トラブルで汚染水は減っておらず、1時間50トンのはずが37トンしか処理できていません。1日10時間以上動かさないと新しい汚染水に追いつかないのです。東芝の装置(ポンプを減らした)でやり、開発担当者は、特に言うべき短所はないと言っています。明日の夜の試運転まで、処理施設は止まりますが、トレンチの余裕はあと数cmです。今まで2万トンほど処理しますが、予定に間に合わないのです。

この話、あと何cmという話から久々なのですが、海洋汚染のデータが問題で、海産物の産地が問題になる(風評被害ではない)ので、国が海洋汚染のデータを出しておらず、しかし、アメリカ西海岸で放射性硫黄が出ており(海水+中性子)、カリフォルニア大で出ており、政府はデータを取らないといけないのに、していないのです。水産庁、数種の魚のデータしか開示してやらず、陸上では米が問題なのに、海に関して政府がやっていないのです。

 そして、小出先生のお話、日本原子力学会の動きについて、研究者、電力会社、メーカーの社員もいる組織なのです。「原子力村の人とかぶっている」、原子力村は政治家、産官学、アカデミズムの人も入っています。この学会、小出先生入られて(70年~80年)、しかし、辞めた(永岡注:小出先生、関西電力の社長が会長になったときに辞めたと著書で書かれていました)、この学会が声明を出して、福島事故の原因調査をする委員会に、「事故の調査で、個人の責任追及をするな」と言っているのです。この意味は、これまでも、「原子力の世界は個人としての責任を取っていない」、これからも取らないための声明でしかないのです(それ以外の意味は見つからない)。

 連絡調整した人にも責任を取らない=情報隠しも問わない、原子炉の設計、建設、審査に関しても責任追及をしないと言っています。これまでも、原子力の世界はこうやって、事故を起こした、個人の責任を逃れる人たちなのです。犯人探しになったら真実を語る人がいないと言い訳しているものの、そもそも、事故調査委員会は個人の責任追及をしないと言っており、推進派の免罪をすることが決まっているので、「この調査委員会はだめ」なのです。畑村委員長を任命したのは菅総理であり、小出先生、声明に驚き、呆れ、この人たちは変わらないと思われたのです。

 しかし、16名の学者が責任を認め謝罪しているのです。本人が責任を認めているのに、原子力学会は原子力を守ろうとしているのです。

 原子力学会会長、原子力が人類のエネルギー解決に不可欠と言っており、小出先生、「話にならない」と言われて、しかし、専門家が日本、地球のために考えてほしいのですが、専門家が変わらなかったら変わらない、専門家も一人ひとりの人間であり、人生は一度であり、どう生きてどう責任を取るか考えてほしい、このような悲惨なことを見て、責任を取らないとは、自分の命をどう思っているのか、と小出先生言われました。

 16名の中には、原子力安全委員会の住田さんもいられて、現職安全委員長も謝罪しているのに、原子力学会を変えていないのです。小出先生、「16名の謝罪眉につばをつけている」、この人たちも、振ってきた旗を降ろしていないのです。

 専門家の姿勢が問われているのです。「小出先生の言うとおりに事態はなったと、謝罪した人は一人もいない」のです。

 政府の人選の問題でもあり、平野さん、刑事事件になってもおかしくないと言われ、政府が責任逃れのためにやったと言われ、小出先生、同意されました。

 私は、サラリーマン時代に、日本の社会組織の封建制、官僚制をいやというほど見せ付けられましたが、今回の事故は、日本の官僚、封建体制の必然と、今日の小出先生のお話を聞いて確信しました。なお、本日の後半は学生さんのお話で、これの書き起こしはパスさせていただきます。小出先生のお話、明日もお伝えする予定です。