小出先生、「基準をつくるより、きちんと汚染数値を表示すべき」

みなさまへ    松元

小出先生の「たね蒔きジャーナル」4月25日分の転送ですが、19日分を見落としていましたので、すこし遅れましたがあわせてお届けいたします。

25日、国は脆性基準を93度から138度に引き上げています。また農水省は、国の基準よりきびしい民間の自主検査を国の基準に合わせるよう通達を出したことにかんして、小出先生、「国民の努力を止めよとは情けない国だ、恥ずべきことだ」と嘆き、「基準をつくるより、きちんと汚染数値を表示すべきだ」と語っています。

19日は、使用済み核燃料の処理費用の試算について、「土に埋めるといっても100万年の保証は科学には出来ない」「カネ勘定自体が馬鹿げたことであって、いずれにしてもインチキ」と言っています。

国はさまざまな「基準」を原発に都合よく勝手に引き上げては、国民にそれを押し付けていますね。

●「小出裕章非公式まとめ」に生の声がアップされています。http://hiroakikoide.wordpress.com/

=====25日のお話=====

 永岡です、毎日放送ラジオのたね蒔きジャーナル、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞専門編集委員の近藤勝重さんの案内で放送されました。虎快勝で近藤さんもウハウハです(笑)が、東京では虎があまり大きく取り上げられないと近藤さんご不満です(笑)。

 原発のニュース、京都市の門川市長が脱原発提案に賛成ですが、大阪とは完全な共同歩調は取りません。神戸市も全原発廃止は盛り込まない模様です。

 再生エネルギーの買い取り制度、太陽エネルギーを42円/1kwとする(風力は23円)。電力会社の支払う買い取り料金は電気料金に上乗せさせるのです。電力会社の努力ではなく消費者の金でやるのです。
 そして、小出先生のお話、福井県の高浜1号機、これまで原子炉圧力容器の脆さで、九州の玄海が危ないと言われていたが、高浜1号機が日本で2番目の脆さであり、これについて、家の鍋とガラスのコップを想定し、鍋をトンカチで叩くとゆがむが割れない、しかしガラスは割れる。金属とガラスは、普通の温度では性質が異なり、金属は延性を持ち、ガラスは脆性なのです。

しかし金属も冷たくすると脆性になり、マイナス100度くらいで伸びなくなり割れるのです。ところが、原子炉の圧力容器は、中性子の被曝を受けており、鋼鉄が脆くなり、マイナス50度、マイナス10度で割れる、脆くなる温度が上がり、高浜だと95度、普通でガラスになってしまっているのです。

 普通は20~30度、圧力容器の鋼鉄は脆性であり、圧力容器に水があり、圧力容器が割れたら炉心がむき出しになりメルトダウン。割れてはいけない圧力容器の脆性になる温度が高くなり、高浜は38年で95度になる。もともと、ガラスのようになることは分かっており、どこまで我慢できるかで原発に手を染めた。30年でガラスのようになり寿命と思っていたら、圧力容器の中に試験片を入れて、これをチェックしていると、予測に会わず高い温度で脆性になるのです。試験片の測定は4度目で、10年前68度、今回95度、10年で27度上がったのは、電力会社の予測はそんなに上がらないと思っていたのに、予想外に上がっていたのです。

 今まで、93度なら大丈夫と言っていたのに、基準を今132度にしており、運転中は原子炉は200~300度あり、延性で運転中には割れないとしていた。ところが、実際の試験片の温度が上がり、基準を変えて原発の寿命を延ばしているわけです。

 食品のお話で、放射能検査、業界団体に、スーパーなどが国より厳しい基準でやるなという通達で、反発も出て、農水大臣は強制なしと釈明していますが、小出先生、これについて、「情けない国だ」、これだけの事故を起こし、食べ物を汚染させた責任は国と東電にあるのに、人々が汚染を逃れることを批判するのは恥ずべきことと言われました。近藤さん、数字的にはどうかと聞かれて、水野さんも、民間努力でも、具体的にこの食品にこの放射能と数値は出しておらず、店の基準でのOKかアウトかなのですが、食品の基準が厳しくなり、流通でも信頼を得たいが、生産者では今までのものが出荷できなくなる。小出先生は、子供たちを守る方向には行っていないと言うことで、基準は米で100ベクレル、事故前は0.1ベクレル、1000倍を許している。小出先生、放射能はどんな微量でも危険で、子供にはきれいなものを与えたい。基準は不要、全ての食べ物に測定して表示せよと、東電が広範な食べ物を測定して示す(100を超えていても小出先生は食べる)のが必要。これでないと、子供は守れない。食料をきっちり測定せよとのことです。

 久々の小出先生のお話をお伝えいたしました。
=====19日のお話=====

 永岡です、毎日放送ラジオのたね蒔きジャーナル、今日は千葉猛さんの司会、毎日新聞大阪本社論説委員の藤田悟さんの案内で放送されました。トラの勝利で千葉さんもウハウハでした(笑)。

 千葉さん、午後3時までテレビの取材で福島に行き、放射線に色が付いていたら、と言われました。危険性が目に見えず、深いため息をつかれたのです。この取材は来週25日のちちんぷいぷい(関西ローカルの毎日放送テレビ番組)で放映されるそうです。

 昨日の小出先生と澤田さんの討論、リスナーより反響も大きかった模様です。

 原発のニュース、使用済み核燃料を再処理するシステム、そのまま処分したら7.1兆円で、再処理より低コストになるのです。現在の稼働のままなら3割ほど低く、しかし使用済み燃料をどこに埋めるかも問題なのです。

 福島の1~4号機は今日をもって廃止になり、日本の商業用原発は50基になりました。大飯再稼働の時期が不明で、原発なしの公算が強くなったのです。しかし、福島は消えてなくなったわけではないのです。

 野田総理、原子力損害賠償機構の下河辺氏に東電会長を依頼して受諾されました。
 そして、小出先生のお話、内閣府の原子力委員会、使用済み燃料の2030年までの処理費用の試算(原発を増やす、減らす、維持する)で、再処理するか、土に埋めるか計算したことについて、再処理について、天然の核分裂する物質はウランの、それも235のみ、0.7%しかなく、アメリカはウランを原爆にしようと235を必死に集めた(濃縮)、それで広島原爆を作った。しかし、ほとんどのウランは役立たずで、ウラン238、これに中性子を当てるとプルトニウムになり核分裂になり、アメリカはこれで長崎原爆を作ったのです。

 原子力エネルギーは、ウラン235は0.7%しかなく、これではエネルギー資源にならないのです。普通の原子力はもともとエネルギーにはならない(すぐになくなる)ことが分かっていたのです。それで、ウラン238をプルトニウムにしたら、エネルギー資源になると考えて、高速増殖炉を作り、プルトニウムを作って再処理で取り出し、また高速増殖炉で燃やす予定が、破綻したのです。「日本も早く夢から覚めるべきなのに、まだ再処理、増殖炉と言っている」のです。

 もともと、原爆を作りたい、極めて軍事的なもので、外国は教えてくれない。日本は圧倒的な後進国で、再処理は出来ず、イギリスとフランスに再処理してもらって来たのです。しかし、自分でも再処理したいと、1977年に東海村に小さい再処理工場をフランスに作ってもらい、六ヶ所村もフランスで作ってもらい、日本の技術を入れても、ダメだったのです。

 内閣府は一番安いのは、2020年まで原発廃止、燃料は土に埋めるとしており、「もちろんその通り」、再処理は危険で、やらない方が安いのです。原子力をやらない方が安いのです。ただし、使用済み燃料はもう膨大にあり、再処理しないでも大変で、土に埋めること自体が大変で、埋めても100万年出てこないようにしないといけない、自治体に勘定は出来ないのです。

 埋めたら大丈夫という試算であり、もちろん違う、「科学が100万年保証できない」のにこれを言って来た、それがバカげたことなのです。実証に100万年かかるのです(泣)。その中でお金の計算はインチキなのです。

 今日は、再処理のお話をお送りいたしました。