尖閣諸島沖の中国船不法事件について(続・続々)

 尖閣諸島沖の事件処理は、検察庁が政治決着を画策するという想定外の「禁じ手」により中国の無法に屈する結果となった。 橋本大阪府知事は、検事に(政府が為すべきところの)決断を押しつけている、と評したそうであるが、正しく的を得た評である。 「押しつけた」のが責任だけか、判断そのものなのかは、今後の検証に待たねばならないが。

 菅民主党政権には、反吐を吐くほどの嫌悪感を覚える。 民主党政権発足当初には、このような感想を抱くことになるとは思いもしなかったのに、である。 鳩山前首相が米軍基地移転問題で、その判断を二転三転させた挙句にデッドロックに乗り上げた不始末に匹敵するか、それ以上の不始末である。 

 政府が関知しないところで、検察庁が絶対的に「所管外」の政治的・外交的理由により司法判断を違える等とは前代未聞の事件である。 本当にそのとおりであれば、越権沙汰ではないのか。 そもそも、政治主導の統治を唱道している民主党政府からすればあり得ない出来ごとであろう。 これが、官僚を排して政治によって国家の統治を為すのが建前の民主党政権下で起こることであろうか。

 国家統治の責にある者であれば、一命に代えても祖国の領海を守備し、不法に対するに沈着・冷静に勇気を持って法の執行を行っている巡視船乗組員に対して申し訳が立たないではないか。 法治国家の存立基盤を危うくしてまで、傲慢極まる中国に媚を売りたいのか。 恥を知れ。

 国家は、国民と領土と主権によって成り立っている。この事件によって、この三点が侵犯されたにも関わらず、「超法規的措置」により大国に屈し、その責任を己が嫌う「官僚」に押し付ける卑怯な行いを、我々国民は許しはしないであろう。 

尖閣諸島沖の中国船不法事件について(続)     2010年9月24日

 投稿した後で、中国漁船(?)の船長釈放の報に接したところです。 恐れていたことが起こりました。 柳田法相は、『「法相として検察庁法14条に基づく指揮権を行使した事実はない」。 船長釈放の方針決定に至った経緯については「日中関係の重要性、関係当局による今後の再発防止の努力などを考慮した」と説明した』とのことですが、果たして真相はどうなのか。 検察庁の「秋霜烈日」とは、こんなものなのか。 

 一市民の犯罪に対しては、「秋霜烈日」の如く対処しても、大国の脅し賺しには弱く、刑事手続も疎かにするとあっては、厚労省の官僚をフレーム・アップで犯罪人に仕立てようとしたことといい、度胸の無いやくざではないのか。 もっとも、今回の対応は、検事の判断では、出来ないことであろうと思われる。 今後は、民主党政権の係り合いを検証しなければならないであろうが、禍根を残すことになりそうな予感がすることではある。 

 中国の無法な脅し・賺しに自国の法を軽んじてまで屈する日本。 我が国ながら、ようもここまで腐ったことよ、と自嘲するしか無いか。 

 (先の投稿中に誤字がありましたので、お詫びして訂正いたします。 手赤→手垢)