岐阜朝鮮学校の子どもたちを支援する「ポラムの会」会報151号原稿  今すべきこと、伝えること

 今年は、9月に入っても異常な暑さが続きます。
 ウクライナ戦争もイスラエルのパレスチナ・ガザ地区殲滅戦争も止まず、テレビ報道はいま、11月のアメリカ大統領選挙、9月の自民党総裁選・立憲民主党の代表選報道が占めています。

 私はアメリカ大統領選の報道を観ながら、2018年米朝間で急速に高まった対話による朝鮮半島問題の平和的解決の様子を思い出しました。
 あの時2018年4月、韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談が行われ、「朝鮮半島の繁栄、統一のための板門店宣言」に署名、6月にはシンガポールで史上初のトランプアメリカ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の対談、そして「共同声明」が発表され、米国と朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮半島の平和体制の構築に取り組むとしました。
 2018年のあの動きは、差別・分断の長い道のりのなかに差した希望の光、平和実現への喜びでした。在日同胞のみなさん、朝鮮学校の子どもたち、若者たちの喜びの姿や笑顔を今も忘れることが出来ません。

 あれからわずか数年、世界は一変してしまいました。
 難民は増え続け、戦争が起こり、いつ世界戦争に発展してもおかしくない状況にあります。「民主主義」を掲げていながら西側諸国は、対話による停戦を求めるグローバルサウス諸国とちがって、武器供与や資金援助をし、戦争を継続させています。
 ウクライナ和平について6月中旬に開かれたスイス主催の「平和サミット」は、ロシアを招かず中国は欠席、宣言に賛成した国は78ヵ国だけ、多くの国が署名を拒否、世界人口の8割を占める国々が会議の結果に背を向けたともいえる結果でした。これは何を表すのでしょうか。1946年二度にわたる世界大戦への反省から世界の国々の合意によって設立された国際連合は機能しなくなっているとも言える状況です。

 日本はどうでしょうか。
 他国への侵略を反省し武力による解決を放棄、アジアはじめ世界の人たちに世界平和を誓った「日本国憲法」は、長年国際社会で日本の立場を高めていました。しかし今、その誓いを捨てています。防衛費は増え続け、核兵器を持たず・作らず・持ちこませずの「非核三原則」維持も核兵器禁止条約への参加も危うい実態となっているのです。

国の平和と繁栄の基礎は何でしょうか。
 殺し合いや列強の支配では平和も繁栄も長続きしなかったことを、私たちは歴史から学ぶべきです。線引きをし、民族や国籍を理由に差別することでは平和は手にできないということを。
 そのことこそが、子どもたち若者たち次の世代に渡す財産です。
 日本の「平和憲法」もそのひとつ。9条は変えるべきではありません。私たちの貴重な財産です。
 過去を話し、教えてくれた親たち・祖父母たち・先生たちの言葉に学び、考え、私たちが今すべきことは何かを話し合うことが大切ではないでしょうか。
20240921

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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