1956年といえば、高1から高2の時期だが、私の映画歴では、一つの小さな山をなしていて、二本立てながら、44本見ているので、20回くらいは映画館に足を運んでいることになる。
セレサは西口のロサ映画街の一画の旧作洋画の専門館だったのだろう。同じく洋画のフランス座は東口にあったが、1955年に開館、数年で閉館してしまっている。文芸地下、日勝地下は、この頃、入場料は50円だったか、それらしい半券が残っている。「終着駅」、「旅情」、「地上より永遠に」などを、いま見たらどうだろう。二人の、あるいは二組の恋の行方に胸を締め付けられるような思いで見ていた頃がなつかしい。「潮騒」や「太陽の季節」は話題作だったので、出かける前は少しドキドキしたものだったが、宣伝に踊らされた感じであった。
松竹、東宝、大映、東映の封切館やときにはエトアールなどの二番館の招待券を、店の前の銭湯「平和湯」からもらうことがあった。脱衣場の天井近くにずらりと並んだ映画館のポスターは壮観であった。私もあのポスターを見るのが楽しみでもあった。銭湯に掲げられるポスターには、招待券がついてきたらしい。そのおこぼれを、ときどき、番台の奥さんからいただいていたのを覚えている。いただいた招待券は、無駄にはしまいと、家族の誰かが見に出かけていた。今回の一覧には、そんな映画も含まれていると思う。
初出:「内野光子のブログ」2023.1.7より許可を得て転載
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