みなさまへ 松元
福島第一原発から水蒸気が噴出しているという指摘は、木下黄太氏のブログ「放射能防御プロジェクト」がもっとも早かったようです。http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/c/28437a365885c2ef56b77f094706d3da
しかし日本のTV、新聞は完全に黙殺しているようです。すでにいくつかのMLで紹介されていますが、わずかにロシア・トゥディの映像が最近の「水蒸気の噴出」を問題にしているだけです。このうちのひとつバズビー博士の映像がすでに「削除」されていましたので、文字紹介もかねて転載させていただきます。
すでにメルトスルーしてしまった核燃料が地下汚染水あるいは地下水と接触して、ある種の核暴走をしているかもしれないということは、素人でも推測可能なことです。
「官邸も懸念」ということは、この水蒸気噴出は尋常ではない、ということを意味しているはずです。しかし、東電も政府もメディアも何ら触れようとしない日本の状況は、明らかに異常なことですし、情報鎖国というより国内における自主的な情報隠蔽がこの「尋常ではない」状況をつくりだしていると思います。古くからの東電の情報隠蔽体質が、事故後、政府、官僚、メディアに一挙に拡大した感があります。
その証拠はいくつもあげられます。拡散し堆積している放射性核種の実体と見合わない「避難指示?」による「被曝の強制」、子どもの「被曝許容量?引き上げ」、野菜、畜産品など食品の「(大幅な)暫定基準値?」、原発作業員、汚泥処理などの「(考えられない)被曝許容量?」等々、かりに当初から隠蔽されている重大な内部被曝問題を棚上げしたとしても、既存の法令さえも破っている事態は各処で指摘されていることです。
なによりも、放射性核種および放射線種に基づく恒常的な放射線測定の「不作為つまりサボタージュ」が意図的になされていることは明白で(例えば海洋プランクトンや沿岸魚介類、河川、湖沼の汚染調査がまったくなされていない!)、一義的に責任を有する政府、東電の犯罪は火を見るよりも明らかなことです。
かつての独裁国家や開発独裁国家のように、こうした嘘を許容する受益者だけの偽装「民主主義」国家を曝しています。インターネットのなかった時代、インパールや沖縄戦の戦況は国民に知ることは出来ず、インターネットのある時代、原発事故状況を国民の誰もが知りえない…今に始まったことではないこの通時的現象、日本国の体質…。大本営発表がまかり通る国とは?
以下、ロシア・トゥディで報道されたバズビー博士とジェイコブズ教授のインタビューを紹介いたします。
======以下転載======
■RussiaToday:毎時10兆ベクレルの放射線放出が続く
2011-08-21 | 震災・原発 | By: sorakuma
http://sorakuma.com/2011/08/21/2760
N:バズビー教授 「 毎時 10の13乗=10兆ベクレル/毎時 という膨大な量の放射性物質放出が続いている、と東電担当者が日本の首相に報告していたのを聞いた、という人が教えてくれました。」
これに対して日本政府は17日 現在の放出量を「最大で毎時 2億ベクレル」(推定。事故当初の1000万分の1)と発表。
RT:ある報告によると、福島第一の原発の事故原因は、地震によるダメージが原因であったのであり津波が原因ではなかったということですが、日本が地震国であるという常識から考えれば、どういう意味合いを持つのでしょうね?
バズビー教授:そうですね、明らかに誰でも思うはずですが、残りの原発も、実際に廃止すべきだ、とほとんどの人がこう思うはずです。また、ほとんどの人が、明らかに活断層がある場所に原発を建てるとはなんとばかなことだったのかと思うはずです。地震が起こると分かっている場所に建てるとは。その結果を今、目の当たりにしているのですから。明らかにこれが人々の反応です。
RT:このような報告をお聞きになって、日本の残りの原発はどうすべきとお考えになりますか?
バズビー教授:残りの原発もすべて、廃止命令を受けるべきだと思います。最終的には、原子力発電をあきらめるべきだと思います。多分ご存知でしょうけど、私に言わせれば、『原子力発電』それ自体がもう非常に危険なものなのです。原発を囲いでおおい、放射能が出ないように本当にできるとは誰も思わないはずです。
事故の原因となる原発のしくみの話です。将来同じような事故が必ず起こるでしょう。原発事故は非常に恐ろしいものです。ぞっとするような結果を招きます。こんな方法で電気を発電するのはもう選択肢にはなりません。もちろん、今すぐに全部を止めることは難しいでしょう。日本全体が止まってしまうでしょうから。日本はそれほど原子力発電に頼っていますからね。これはいずれ解決すべき問題となります。
RT:政府と東電は、事実を追跡している人々から厳しく批判を受けていますが、彼らが発表する情報の信頼性についてですが、我々はすべての情報を現在、得ているとお思いになりますか?
バズビー教授:いいえ。彼らが情報すべてを発表はしていないのは分かっています。
私は高性能の放射能測定器を持って行きました。そして満足行くまで調査しました。原発から100kmも離れたところの地面の測定値が、政府の発表の数値よりはるかにはるかに高い値でした。実際のところ、東京(と千葉の間)を走らせた車のエアフィルタによる測定値は、フィルタに付いた、例えばセシウム137の濃度の値が、1963年の核実験ピーク時の東京の値の1000倍以上です。ですからほんとうに大変な放射能レベルなんです。
そして問題は外部被曝の線量にしか注目しない専門家により、このこと(呼吸による内部被曝)が無視されていることです。こういう専門家たちは次のように言います。
『外部被ばく線量が、毎時何マイクロシーベルト以下だから』。また彼らは自然界の被曝線量と比べて説明しようとします。しかし現実的には、自然界の被曝量と比べても意味のないことなのです。実際、東京ほど離れた場所でさえ、放射能汚染は非常に高いレベルです。例えば、東京のあるサンプルがチェルノブイリの立ち入り禁止区域よりも、高いレベルであるのを見つけました。もう大変深刻な状況なのです。
RT:では、福島原発の原子炉の構造物の亀裂はどのくらい危機的なんでしょうか?警戒すべき状況でしょうか?
バズビー教授:今、蒸気が噴出しています。カリフォルニアの測定結果から言えることですが、この蒸気には、放射線アイソトープ硫黄35が含まれています。このアイソトープは塩素の中性子線をともないます。つまりここで起きている状況は、核分裂反応がずっと起きていて、膨大な量の中性子線の流束が出ており、そこへ海水です。膨大な量の放射性物質がどんどん産出され続けているわけです。それを、彼らはこれまでどうすることもできずにいます。
東電の担当者が、日本の首相に報告しているのを聞いた、という人が私に言ったのは、現在、毎時10の13乗ベクレル(=10兆)の放射能が原発から出ている、と言ったそうです。ということは、どう考えても大変な自体が、いまだ進行中であると言えるのです。それはしかし、完全に無視されて全く語られません。日本では、正しい報告がずっとなされていませんし、また国際原子力機関においてもそうです。
RT:わかりました。すぐにまたさらなる情報が出てくるでしょう。欧州放射能リスク委員会科学部長、クリス・バズビー教授でした。今夜はお話下さり本当にありがとうございました。
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■RussiaToday:福島第一・地面から水蒸気が噴き出している
2011-08-21 | 震災・原発 | By: sorakuma
http://sorakuma.com/2011/08/21/2760
N:ロシアトゥデイによると、福島第一の地面に亀裂が発生し、放射能を含んだ水蒸気が吹き出しているようです。また、福島第一が津波以前にメルトダウン(制御不能状態)を起こしていたことについても言及し、日本で稼動しているすべての原発の耐久性、安全性に疑問を投げかけています。
RT:福島原発の作業員が「施設下の地面がひび割れ、放射能を含んだ水蒸気が放出している」といいます。3月の津波による破壊で冷却機能が失われ、原発危機が起きました。新たな証拠は以前より原発の状況が悪くなっていることを示唆しています。広島市立大学のロバート・ジェイコブズ教授に話を聞いています。
RT:蒸気が噴出している件はどの程度深刻ですか?
ジェイコブズ教授:非常に深刻な状態が進行中です。これは7月1日のM6.4と8月12日のM6.0の大きな余震の後始まりました。この余震により、パイプや地下の建物が破損してる可能性を示唆しています。放射能汚染水が地中に流れ出している可能性があります。その上、ひび割れは大きくなり、蒸気の出口が出来つつあります。
作業環境は以前より悪くなっています。というのは、問題が建屋や格納容器に閉じ込められてないからです。作業は以前より難しくなっています。
地中を放射性物質が流れている可能性があります。
RT:作業員はこうも言っています。「原発は津波が来る前に地震で壊れた」と。
RT:こういった原発は耐震基準を高めるべきだと思いますか?
ジェイコブズ教授:イエス。日本の原発はM8の地震に耐えられるように設計されています。楽観的シナリオを想定して設計されたんです。想定以上の地震が起きることが明らかになりました。1号機は津波が来る前にメルトダウンしたことに関して多くの証拠があります。もし、原発が津波ではなく地震によりメルトダウンしたのなら、M9の地震は日本のどこでも起こる可能性があるので、すべての原発の信頼性や耐震性に疑問符がつきます。
ジェイコブズ教授:話を放射能を含んだ蒸気に戻しましょう。これは余震の後続いてるんです。大きく壊れていた原発が、M6.4の余震やもっと大きな地震もありましたが、現在、炉心が地下に落下してるんです。格納容器の底に落ちてるんです。仮に、建屋の中の放射能レベル、水圧、温度が下がったとしても、放射能が消えたわけではありません。溶けた炉心燃料が移動しただけです。余震により建屋の外に出たのでしょう。これ(2.39mSv/h)が、現在見えてる放射能蒸気です。大きな地震は余震を伴います。現在の原子炉は、津波はもちろん地震に対しても安全ではないのです。
RT:耐震性に問題があり、炉心や蒸気の問題とか危険な事態になっていますが
信頼性のない原発はいつ廃炉にすべきなのでしょう?
ジェイコブズ教授:今すぐです。天災は我々の能力を超えてるのです。色んな天災が原発を襲う可能性があります。これらの原発は理想の状態でしか運転できないのです。我々はそんな世界に住んでいません。我々は原発と共存できるか問い直す必要があります。
RT:ロバート・ジェイコブズ教授とBB中継でお送りしました。ありがとうございます。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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