愛猫とらとベッドへ

我が家の愛猫とらは、夜になると、飼い主の手枕で寝ました。 飼い主が右を向いて横になり、右手を伸ばすと猫が顎を載せるのでした。 満足そうにスヤスヤと寝るのでした。 ただし、一緒に寝るのは冬季限定でした。 当然ですが、暑くなると一緒には寝ておれません。

また、二番目の仔猫を迎えると、仔猫もとらと一緒に寝ようとしましたので、飼い主が困りました。 いくら可愛い仔猫でもとらが第一でしたから、仔猫は、飼い主の脚の横が定位置になりました。

二番目の仔猫が来てからは、飼い主ととらが寝ることが難しくなりました。 仔猫が何を勘違いしたのか、とらを母親と思ったのでしょうか、離れないで団子になり、更に先住の仔猫がこれに呼応し、それぞれが我勝ちに飼い主に殺到し、肝心のとらが嫌がり、飼い主の布団には入らず、仔猫達も同調し、とうとう飼い主は一人で寝る羽目になりました。

今、とらと仔猫達が共に寝る写真を見ますと、母親を慕う仔猫達が居るように思えます。

とらは、男の仔だったのに。

以下、柄の悪い美女由里と同居猫とらの字数298字の小話です。

「とら~。 お姉さんと寝ようよ。」と何やら優しい声の由里。 寝室は、持ち主には似合わない乙女チックな部屋。 でもって主人は、色気のないおっさんの着るジャージ姿。 髪のみ長いポニーテール。 しかし、ポニーテールのまま寝るの?

お利口さんなイケメン猫のとらは、呼ばれて直ぐにベッドへ直行。 ひょいと由里の傍に。

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「とら~。 好きだよ~。」と抱き寄せる由里。 いやいやするとら。 いやなら行くなよ、と言いたくなるのですが、猫には猫の理由がある。

由里の延ばした左手に顎をのせて大きく肢体を延ばしたとらは、ゴロゴロと喉を鳴らして彼女を見る。

読者の期待に反して美女と猫は、そのまま翌朝まで寝るのみ。 何せ相手が猫だもの。