我が家の愛猫・とらは、何かの折に、飼い主を舐めることがありました。 例えば、ソファーに座りテレビを見ていた時、近寄ったとらが、チラっと私を見ているので、抱き上げた際に、抱き上げた飼い主の腕を舐めるのでした。 また、肩に飛び乗って、直ぐに、私の頬を舐めるのでした。
これ等は、「好きだよ。」と言っているのであろう、と推測が出来ました。
一番感激したのは、飼い主が重いインフルエンザに罹って寝ている時のことでした。 天井が揺れるように見えたので相当の熱があったのでしょう。 ふと眼を覚ますと、眼の前にとらの顔が見え、私の額を舐めました。 何度も、何度も。 もう良いよ、とら、と言っても止めずに更に額を舐めるのでした。
これには思わず涙が出ました。 猫なりに額の熱を感じたのでしょう。 でも猫が出来るのは舐めることのみ。 それでも愛猫の気持ちが分かり、涙が出たのでした。 そしてその日一日中、猫の看病は続きました。
ともあれ、下記は、愛猫・とらの慰め?(300字)と題した小話(設問)です。
ある日の昼下がり、フロアに寝そべり固定電話のボタンを押す由里。 「もしもし、ママ~? 」と甘えた声。
「あたし~、車が無いと困るの。 パパに免許証と車を返すように言ってくれない? 無いと電車に乗るでしょう? 痴漢に狙われて怖いの。 」と大嘘。 痴漢を捕まえたくせに。
「お願いね。」と言って受話器を置き、舌を出す。脇には、愛猫・とらが寝そべり聴き耳を立てて居る。
「何よう? とら。 仕方無いじゃない。 スピード違反で交機(交通機動隊)にパクられ、免停になっちゃたのよ~。 オヤジめ、免許証と車、取り上げたんだから。オヤジに買って貰った車だけどね。」と由里。
すると、とらが起き上がり由里の額を舐める。 これって慰め? それとも軽蔑?