持て囃される同工異曲

最近、良く思い出すのが、その昔に存在した「日本社会党」の左派と共産党との論争です。

日本の国独資(懐かしい言葉)変革一本か、米帝(これまた懐かしい言葉)からの独立と、更なる日本の国独資の変革の二段階革命(懐かしい言葉)との欠伸の出るような論争ですが、現代にも同様の言説を聞くことがあるのです。 流石に同じではありません。 しかし同工異曲です。 右派が跋扈する現代ですので、「国体」等と死語も復活させての凄い編曲です。

これ等の言説に引っかかって買う人も多数なのでしょうか。 トランプ大統領が攻撃しているあのアマゾンで売り上げを伸ばす新書もあるのが面白いです。 何でも装いを新にすれば売れる、と云う見本のようです。 でも新書と云うのが現代です。 数百頁のカバー付きでは売れません。 ましてや数巻もの選書や全集では絶望的に売れません。

しかしながら、この国は、米国追随、と言われても、私等のように戦後に生まれたベビー・ブーマーの世代では、何でもかでも米国が手本でしたので、仕方がありません。

実際、幼少時代から世の中にあるものは米国由来のものばかりでした。 モータリゼーションが全盛になる以前から、高速道路が建設中でしたし、街中にはスーパーのはしりが出店しつあり、映画は米国からのものばかりでしたし、テレビも同様。

ファッションに至るや、アイビールック等と米国東部の大学生を真似たファッションが全盛になった時代でした。

私事ですが、私の場合も、当時から米国由来の服装で今に至ります。 数十年以前からは、山行用には、L.L.ビーンから通販で個人輸入し、通勤にはトラッドのスーツを着ていました。

加えて、英会話習得のためにYMCAに行っていました。 これが決定的。 楽しかったです。 YMCAと言っても女性が圧倒的な人数でしたので、実質的には、YWCAじゃないか、と友人と話していましたが。

電車内で、同じクラスの女性の一団と偶然出会い、飛びつかれた時には、嬉しかったです。 気がつくと、周りの男性達の眼が射すように厳しかったですが。

こうした私の姿は、昔の○○系運動家の眼には、米帝の手先、と映っていたのかも知れません。 ゲバ棒で殴られたことはありませんが。

個人でこの有様です。 国の場合ならば、どうであったのでしょう。 今思い出すのは、戦後の悪性インフレです。 この対策は、ドッジラインで鎮静したのでした。 即ち、貧乏国がヤケクソで起こした戦争のために財政破綻した尻拭いを己の力では出来なかった訳でした。

金融、経済等の面では今も当時とは変わらない実質があるのでしょうか。 大学で使用するテキストも米国のものを使われている処が多いらしいです。 他の面でも同様なのでしょうか。

例えば、金融、中でも投資関連では、まず証券投資に関わっての参考書の筆頭に挙げられる書籍として、Jeremy J. Siegel(ジェレミー・シーゲル)著のStocks for the Long Run (株式投資)と云う書籍があります。 金融の多数の分野にまたがり、必携の書として米国のものがあるのは常識です。 そもそも金融分野の共通語は英語ですし。

この方面では、米国と比べての実相は、惨憺たるものがあります。 それは、亡父が金融、中でも株式投資が専門でしたので、良く分かります。 昔は、株屋と呼ばれていましたが。

旧態依然とした株屋の技法にある一例を挙げますと、単位株の騰落を記録した罫線を観て、将来の騰落を予想するのですが、テクニカル分析とか称して。 しかし、そんなもので特定の株式の将来の騰落が分るのならば、誰も苦労しません。 その実態は、中るも八卦の世界です。 でも、今だにしている人がいるらしいのです。 信じられませんが。

それにしても、アベ・アソウのお二人。 どうせ米国追随ならば、若い折からYMCAに通い、アイビー・スクールと云わずとも米国の大学外国人英語コース留学ではなく、学部に入れる英語力をつけて正規留学をして世界レベルの政治家になられれば良かった、と言わねばなりません。

ダサいスーツを着て前世紀の価値観でものを云う姿を見るにつけ、そう思います。 お二人には無理でしょうが。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7728 :180614〕