国際協同組合年を機に衆参両院が決議
国連が2025年を「協同組合年」と定めたのを受けて、衆参両議院は5月27日に衆議院本会議で、同28日に参議院本会議で、「国際協同組合年に当たり協同組合の振興を図る決議」を賛成多数で採択した。協同組合に関する国会決議は初めてで、協同組合運動史上画期的な出来事である。
「国際協同組合年に当たり協同組合の振興を図る決議」は、衆参両院とも同文だが、国際協同組合年が、協同組合の振興や、持続可能な開発目標(SDGs)の実施と社会・経済開発における協同組合の貢献に対する認知を高めることを目的としていることを踏まえ、政府に対して協同組合の振興に取り組むこと、協同組合を持続可能な地域社会づくりにおける有力な主体に位置付けること、協同組合が民間非営利組織として発展するよう留意すること、などを求めている。
日本は、「協同組合大国」と言われる。農協、漁協、森林組合、生協、医療福祉生協、共済組合、信用金庫、信用組合、労働金庫など多種多様な協同組合が各地にあり、それらの組合員は延べ1億人、事業収益は26兆円とされる。これらの協同組合は、2018年に発足した一般社団法人「日本協同組合連携機構」に結集している。
2025国際協同組合年に関する行事や活動は、これらの協同組合組織によって昨年組織された「2025国際協同組合年全国実行委員会」によって進められている。衆参両議院が、このたび、国際協同組合年に関する決議を行ったのも、同委員会が協同組合振興研究議員連盟(超党派。会長=森山裕自民党幹事長)に働きかけたのが功を奏したと見ていいいようだ。
国際協同組合年に当たり協同組合の振興を図る決議の全文は次の通り。
国際連合は、2023年12月の総会において、協同組合を振興し、持続可能な開発目標の実施と社会・経済開発全体に対する協同組合の貢献に対する認知を高めるため、2025年を「国際協同組合年」とする旨決定した。
また、政府は、「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」において、「協同組合をはじめ、地域の住民が共助の精神によって参加する公共的な活動を担う民間主体が、各地域に山積する課題の解決に向けて、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築き、地域の絆を再生し、SDGsへ貢献していくことが期待されている」と表明している。
よって政府は、次の基本的考え方の下に協同組合の振興に取り組むべきである。
1 協同組合に関する様々な施策を企画立案し、及び実施するに当たっては、国際連合の「協同組合の発展のための支援的な環境づくりをめざすガイドライン」(2001年)及びILO(国際労働機関)の「協同組合の促進に関する勧告」(2002年)に留意するとともに、ICA(国際協同組合同盟)の「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」(1995年)によって定められた協同組合の定義、価値及び原則を尊重すること。
2 協同組合が相互扶助の精神に基づき地域社会の持続可能な発展のために活動している点を重視し、持続可能な地域社会づくりに当たっては、その有力な主体として協同組合を位置付けること。
3 現代日本の経済社会において公共部門や営利企業ではない民間非営利組織が果たし得る役割を重視し、多くの人々が組合員として民主的に管理運営する民間非営利組織である協同組合の発展に留意すること。
右決議する。
初出:「リベラル21」2025.6.2より許可を得て転載
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-6772.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14252:250602〕