政治の季節と今そこに在る危険

共同通信が6月1、2両日に実施した全国電話世論調査によりますと、「安倍内閣の支持率は68・0%と、前回の70・9%からわずかに減って、70%台を下回った。不支持率は16・3%(前回16・2%)。」

しかも、為替、債券、株式の市場での乱降下にも関わらず、「安倍政権が子育てや雇用、農業分野を柱に掲げる成長戦略に期待するとの回答は65・0%で、期待しないとの29・0%を大きく上回った。」

世論調査結果は、「成長戦略への高い期待は、参院選公示を約1カ月後に控えた政権には追い風だ。」とされています。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013060201001653.html

内閣支持率は68% 共同通信世論調査 中日新聞 2013年6月2日

このまま選挙になれば、原発や、改憲については、争点化を避けながら、日本経済再生を目指すリフレ政策と、土建国家再来版バラマキ政策を目玉に集票作戦を展開する現政権に誘引されて、停滞から浮上を願う大方の庶民は安倍自民党に投票する結果は観えています。

バブルの後遺症に悩み、長年の経済停滞に纏わりつかれて生活苦に喘ぐ庶民からすれば、原発、改憲、等々の政治課題は、如何様にでもなれば良い、今口にする食に困った人間に明日の心配を諭しても無駄、と霞んだ眼で、未だ政治の季節から抜き出でられない人々を観る結果になるのは自明です。 生活に困らず、政治課題に諸々の品評を加えて老後の道楽にされておられるような方々からすれば、一般の庶民は自業自得の存在でしょうか。 私も、あるブログに投稿して、彼の地の住人に、今現在の金融・経済事情からして安倍政権の進める金融・経済政策の危険性を説いたものの、彼らには、現実的な生活者からの視点に立った危険性等はどうでも良く、安倍氏自身の歴史認識や政治信条等々が関心の的であるらしい、と認識出来た途端に、彼らと議論する無駄を悟りました。 一般庶民からすれば関心の外にある抽象的・政治理念に関わる高尚な議論が実体的に、現に今関わりのある金融・経済の課題に比して、どれほどの時間的緊急性があるのでしょうか。 現政権は、自己が支持されている理由を充分に承知して、陰に陽に、マスコミを動員して「アベ○○○○」を喧伝しつつあるのに。

安倍政権の政策の危険性が現実化した時を想定して対応策を考えたものがありますが、国債バブルが崩壊して国家財政破綻が来たその時には、「『国家破産』は巨大な災厄だが、すべての国民が一律に“被災”するわけではない。被害が大きいのは、日々ギリギリの生活を送っている人たちだろう。国民の1割=1300万人が路頭に迷うと考えればとてつもないインパクトだが、残り9割は何とかやっていける。多額の外貨を保有している上位1割はなんの影響も受けず、逆に利益を得るかもしれない。理不尽だが、これがギリシャで現実に起きていることなのだ。」と承知しておかねばならないのです。

因みに、私は、昭和20年代始め頃の幼小時に、その国民一割の人達を観たことがあります。 子供の眼にも、苦しそうに顔を歪めた亡母が、「観てはいけません」と私の視線を両手で遮ったことを憶えています。 亡父は、証券業であったがために、戦時中に相当額の国債を無理やり買わされたのですが、「国債や保険や残った金を持って、闇市へ行って餅を買って終わりだった」と吐きだしたことがありました。

http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20130522/President_9452.html?_p=1

アベノミクスで幸せになる人、コケる人 2013年5月22日 プレジデントオンライン