原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁の名雪哲夫前審議官(54)が、日本原子力発電に対し敦賀原発(福井県)の断層評価報告書案を公表前に渡していた漏洩事件が発覚した。
名雪氏は昨年12月から1月まで、日本原電常務らと8回も面会。1月22日には庁内執務室で原電側に報告書案を手渡した。「事業者と会う場合、原則的に2人以上とする内規」に違反する行為である。同氏は今月1日に罷免されたが、古巣の文部科学省に戻ったというから驚く。原子力規制委員会の公平性を担保するため「ノーリターン・ルール」まで設けたのに、破られてしまったのもショックだ。規制委が敦賀原発活断層調査を精力的に進めている折、汚点を残してしまったことが悲しい。
規制委は昨年9月、「原子力ムラ」の疑いが指摘されて国会承認を得ぬままスタート。やっと自・民両党が歩み寄り、来週にも国会承認される矢先だった。今年9月を目指して原発規制新基準案づくりを進めている規制委は、体制を整えて不祥事を乗り切ってほしい。
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