新安保体制下の悪夢が現実化するのは何処か

日本の新安保体制下、世界の何処かで軍事衝突が生起した挙句に、自衛隊が巻き込まれ憲法改悪から政体のファッショ化に至るまでが現実化する、との恐れを抱かれる方がおられます。

 

その恐れは当然に存在しますが、南沙諸島がその現場になるには、中国にとって聊か分が悪いのが現状です。

 

まず国際的には、中国の主張が認められていません。 その正反対にフィリピンが提訴した裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、「九段線」には国際法上の根拠がないと認定した上に、排他的経済水域(EEZ)は設けられず、更に領海も設定できないとしたからです。

 

南シナ海、中国の「九段線」に法的根拠なし 初の国際司法判断  日本経済新聞 2016/7/12 18:13

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H5B_S6A710C1000000/?dg=1&nf=1

 

国際司法判断の実効性を担保するかのように、米海軍の航行の自由作戦はトランプ政権下でも継続しています。

 

英連邦諸国の中で五カ国防衛取決め(Five Power Defence Arrangements、略称:FPDA)に参加しているイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシアの諸国でも合同軍事演習が行われています。

 

加えて、イギリスは、同海域へ最新の同国海軍空母二隻を派遣して航行の自由作戦を実施の予定です。 現実に、最近、第一線の艦船ではありませんが同作戦の実施があった処です。

 

英国、南シナ海への軍艦派遣を計画 中国の反発必至 Reuters 2017年7月28日 / 10:40 https://jp.reuters.com/article/southchinasea-britain-idJPKBN1AD05Y

 

何れも、国際情勢の変化が生起しているのが理由ですが、イギリスの場合には、EU離脱後に英連邦諸国との提携に重心を置きたい、との思惑もある故、と観測しています。

 

憂慮されることですが、日本の海上自衛隊は、同海域へ護衛艦を派遣していますし、最近では、潜水艦まで参加しての訓練を行ったことを公表しています。

 

海自潜水艦が南シナ海で訓練 初の公表、中国けん制  日本経済新聞 2018/9/17 23:34 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35447400X10C18A9PE8000/

 

現在は、小康状態を保っているものの、日本の場合、現実に、中国との軍事的衝突が懸念されるのは、やはり、尖閣諸島と思われます。

 

自衛隊は、米軍で言う処の海兵隊部門を新たに設置しましたが、これは、尖閣諸島等が侵攻された場合を想定してのことですから。

 

動き出す日本版「海兵隊」 10月、米と南シナ海で演習 日本経済新聞 2018/9/3 2:00

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34889140S8A900C1PE8000/?n_cid=SPTMG053

 

何れにしても、「われらの安全と生存を保持しようと決意した」事由である処の「平和を愛する諸国民の公正と信義」が揺らぎ、「信頼」出来ず、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会」が夢幻に過ぎず、では、いくら「名誉ある地位を占めたいと思ふ」と下駄を預けられても無駄ですから、憲法を改正しましょうよ、とアベに誘われると、頷く人々が多数になるかも知れません。

 

徴兵制は、憲法改正後も現実化しないでしょうが。 何故なら、一般人を短期間の訓練に依り第一線で通用する兵士に鍛え上げるのが現代の軍隊では無理だからです。 現代の兵士は、言わば技術者なのです。 大和魂で銃剣突撃するのみでは無いのです。 現実的には、女性兵士の倍増と、傭兵でしょう。

 

女性兵士は、米国の研究では、空軍パイロット等に適性があるそうですし、傭兵は、イギリスのグルカ兵、フランス軍の外人部隊等のように優秀な兵士が望めるのです。

 

この国が何処へ行くのか、と疑心暗鬼になるこの頃ですが、くれぐれもトランプさんのセールス・トークに引っ掛かって役にも立たないポンコツ兵器を大量に買い込まないようにご用心を。 差し当たり、在庫一掃セール中のオスプレイにご注意を。 米国では、既に、代替の新鋭機が完成しているのですから。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8009:180919〕