「私は、『歴史的事実を歴史問題として日中戦争70周年に触れない菅義偉官房長官のコメント』に、違和感を覚えた。去る6月6日、フランスで開かれたノルマンディー上陸作戦70周年記念式典を思い起こした。日本と同盟国だったドイツやイタリア、米国や、ウクライナ問題で非難されているロシアの首脳が式典に参加したのである。戦勝国と敗戦国の枠組みを超えた参加国はファシズムを倒し、自由と平和の尊さの思いを共有したのだ。日本は来年、戦後70周年を迎える。歴史を直視し中韓と話し合い、一致点を見出す努力が信頼関係を醸成する。ノルマンディー作戦70周年の東アジア版が実現することを願ってやまない」(要旨)――朝日新聞7月18日付「声」欄に載った投書(長崎県高校教員)に活目させられた。来年、日中韓3国共催の式典が開催できたら、アジア安定の端緒になるに違いない。
欧州の和解については、新聞通信調査会が発行する「メディア展望」7月号に小林恭子さん(在英ジャーナリスト)が「第1次大戦から100周年の欧州」と題する論文を書いていた。「戦後の欧州は、第1次と第2次大戦で敵国同士だったドイツとフランスが50年代に手をつなぎ、後に『欧州連合』(EU)となる流れができていく。現在のEU(93年発足)には英国、旧東欧諸国など23カ国が加盟している。EUは12年度のノーベル平和賞を受賞。ドイツ、フランス、英国などのいわゆる西欧の主要国が軍事的手段を用いて互いに戦うという選択肢は、EUの存在によって事実上消えた。(中略)欧州内の若い世代、戦争を知らない世代に過去に何が起きたかを伝えることは重要だ。特に、70年以上、戦争をしていない日本の若い世代に欧州での2つの大きな戦争について知ってもらうことは意義があるだろう」(要旨)との指摘からも学ぶべきことは多い。
東アジア安定のため、日中韓の歴史認識の差を話し合いでどう決着させるか。3国とも世界平和のため、EUをモデルに外交交渉を加速してもらいたい。
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