2012年4月3日 連帯・共同ニュース第240号
■ 『週刊文春』での対談で野田首相は現在焦点になってきている原発再稼働について「安全性を確認した上で、再稼働できるものは再稼働してもいいと思う」と述べている。安全性の確認とは原子力安全―保安院の第一次ストレステストの妥当性判断や原子力安全委員会のその確認をさすことはこの間の経緯を見れば明瞭である。原子力安全委員長の斑目はわざわざ第一次ストレステストだけでは安全性の確認をしたことにはならない、と公言しているのに。野田首相は安全性についての自分の見識を持っているわけではない。結局、原子力安全―保安院という官僚の判断で専門家の確認を得たということにしているに過ぎない。なぜ、そんなに再稼働を急ぐのかと問われ「電力が足りなくなったとき、国民生活にも経済活動にも影響がでるから」と応じている。さすがにこうした理由の軽薄さに気づいてか「でも経済優先じゃないですよ。再稼働ありきでもない」と付け加えている。この弁明は再稼働ありきではないかと突っ込まれてのものだが、電力が足りなくなるというに理由しかないのが透けて見える。彼には原発震災の歴史的な意味の認識もなければ、原発の是非をめぐる深い考察もない。原発の必然性を説くだけの信念もない。従って再稼働の歴史的位置の認識もない。その分だけ官僚の判断に委ねているのである。この官僚たちの原発の安全性の認識や事故対応の出鱈目さは誰もがよく知っている。福島第一原発事故は収束しない今、事故検証も経ぬままの再稼働を急ぐのは狂気の沙汰である。
■ 5月5日の泊3号機が稼働停止するまでに大飯3号機・4号機を稼働させようという野田首相の魂胆は「原発ゼロ」によって明らかになることを怖れているだけだ。安全性の確認も、稼働理由も曖昧なままの彼らの所業は政府(権力)の暴走という以外ない。全国各地で様々の領域から反撃ははじまっている。福井近県の京都・滋賀・大阪の知事等の反対表明や国会の議連の面々の動きも活発化している。また、3月25日からは福井県明通寺の中島哲演住職が福井県庁で断食に入り、これを知った「原発いらない福島の女たち」はこれと連帯する一人24時間のリレー断食を開始した。経産省前テントひろばは「4閣僚が再稼働の政治判断を下した時は直ちに、経産省前で完全ハンストに突入する」と宣言を発している。これは出来うる限り大勢の参加者による5月5日をめどにした連続的長期的なものとする予定である。5月5日まで僕らは再稼働阻止に向けた臨戦態勢の状態に入った。提起される諸行動に参加を。 (文責 三上治)