米軍普天間基地所属のCH53E大型ヘリコプターが4月16日、韓国北部の北朝鮮との軍事境界線に近い江原道鉄原郡の射撃訓練場で着陸に失敗し、炎上した。CH53Eヘリは沖縄国際大墜落事故を起こしたCH53Dヘリと同機種でもあり、1999年にも国頭村安波沖で墜落事故を起こしている。いつまた、普天間飛行場周辺や県内のどこかで事故を起こさないかという、県民の不安や恐怖は募るばかりだ。
「着陸に失敗」と言うが…
琉球新報4月18日付社説は、「乗組員21人は全員脱出し無事だったが、機体が真っ二つに割れた事故現場の状況を見れば、かなりの衝撃で地上に落ちたことが推察できる。敢えて『墜落』と言わずに『着陸に失敗』と言うことで、事故を過小に見せようという意図はないのか。事故原因のきちんとした説明がなければ、県民の不安や不信感はさらに高まるということを米軍は肝に銘じるべきだ」と強く抗議している。
機体に放射性物質ストロンチウム
また、ソウル発共同電によると、「ヘリコプターの炎上事故に関し、ヘリが所属する沖縄の米軍第3海兵遠征軍は18日、ヘリの回転翼の安全装置に放射性物質ストロンチウム90が使用されており、回収作業をしていると明らかにした。ヘリ回転翼の劣化などを測定するセンサーに使われているという。放射性物質の量は極めて少量で、胸部エックス線撮影よりも小さく安全だと説明している。ストロンチウム90は半減期が約29年。体内に入ると骨に蓄積、放射線を出し続けて骨のがんや白血病などの原因になる。県民の間からは『在沖米軍のヘリが緊張関係にある場所にわざわざ行って訓練していることは、沖縄が戦場に直結していることの表れだ』(ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表)との声が上がっている。
緊迫化する朝鮮半島情勢で、北朝鮮の労働新聞は『米軍の前哨基地』として三沢と横須賀、沖縄を挙げ『われわれの射撃圏にあるとする」と報じている。
軍事基地がある故の危険性
北朝鮮の挑発的な言動は許せない。同時に、軍事基地がある故の事故だけでなく、標的にされる危険性もまた、再認識せざるを得ない。この危機感は「抑止力」以上に、県民には実感が強い。さらに放射線物質被害も引き起こしかねない事故の重大性を、日本政府は深刻に受け止めなければならない。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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